
秋篠宮佳子内親王殿下は日伯外交樹立130周年を記念し、6月に14日間の日程でブラジルを訪問され、計8都市を巡られた。各地で130周年関連の記念行事にご出席され、日系人とも広く交流を重ねられた。
佳子さまは6月4日に成田空港を出発され、5日にサンパウロ州に到着。朝サンパウロ市に到着してその日の午後から公務を始め、15日まで移動を重ねながら連日交流されて、17日に帰朝された。日伯間の直線距離は1万2千キロ、時差12時間、移動だけでも往復約4日を要する過酷な日程だ。
ブラジル日報では、カンポグランデを除く7都市全てで取材・撮影を行い、その集大成と言える記録映像を全編YouTube(https://youtu.be/ngItqz9MWO4)で公開した。佳子さまが各地でお話しされた場面は、ほぼノーカットで収録した。
総尺は2時間を超えるが、各訪問地ごとにタイムスタンプを付けているため、目的の映像をすぐに視聴できる。動画内には特別に、6月4日発行の特集号「佳子さまご来伯歓迎・日伯外交樹立130周年・日本移民117周年記念」に掲載された賛同広告も挿入している。
編集を通じて強く感じたのは、佳子さまのご訪問がいかに過酷なスケジュールであったかということ。それでも佳子さまは、どの都市でも笑顔を絶やすことなく、予定外であっても「皆さんとお話ししてよろしいですか」とスタッフに確認を取られ、積極的に人々と交流されていた。多くの訪問先で参列者一人ひとりに声をかけ、握手を交わされる姿が印象的であった。
動画を見てもらればその様子がよく分かるが、取材スタッフの間でも「あのスケジュールを笑顔でこなすことは、自分には到底できない」との声が多く聞かれた。確かに、皇族は幼少期から公務に備えた訓練を受けているとはいえ、「それを当然とするのは少し違うのでは」と改めて感じさせられた。
記者も約1年半前に初めて日本からブラジルに渡ったが、到着翌朝から研修があり、時差ぼけのまま研修スケジュールをこなすだけでも非常に困難であった。2日目には研修中立ったまま寝てしまったほどだ。それに比べ、佳子さまは連日複数の行事に参加され、常に人々と接しておられた。まさに並外れた体力と精神力であったと感じる。
帰国後には体調を崩され、一部のご公務をキャンセルされたとの報道もあったが、それも無理はないことであろう。その後はご回復され、昭和天皇の武蔵陵墓地と香淳皇后の武蔵野東陵をご参拝されたとのこと。僭越ながら、心よりご快復を喜びたい。
今回のご訪問は、佳子さまにとっても大変な旅程であったに違いない。しかし、佳子さまと直接触れ合ったブラジルの人々にとって、その出会いは一生忘れられない経験となったはず。そして、その感動が、日本に対する印象をより良いものとし、両国の絆を深める大きなきっかけとなったであろう。
佳子さま、ブラジルへのご訪問、誠にありがとうございました。(公)