
交通事故や病気などで親を亡くした子どもたちを支援する「あしなが育英会」の創設者、玉井義臣さん(大阪府)が7月5日、東京都内の病院で敗血症性ショックのため亡くなった。行年90歳。
玉井さんは、滋賀大学卒業後、証券会社に勤務しながら文筆活動を始め、経済評論家として活動。1963年に母親を交通事故で亡くしたことを機に「交通評論家」となった。
67年、同じく交通事故で姉と甥を亡くした岡嶋信治さんと、「交通遺児を励ます会」を結成。68年に「財団法人 交通遺児育英会(現・あしなが育英会)」を設立し、会長に就任した。78年には、交通遺児育英会学生寮「心塾」を開塾するなど病死・災害・自死遺児を対象とした奨学金制度の整備に尽力した。
また、国際的な活動にも力を注ぎ、ブラジルとの関係も深い。72年2月に来伯し、故斎藤広志さんと日伯間の架け橋づくりを開始。日本からブラジルへ約1年間、青年を派遣して現地文化を体験させる、非営利留学団体「日本ブラジル交流協会」(現・ブラジル日本交流協会)の会長も務めた。
2015年には教育や人権問題などの分野で貢献した人に贈られる「エレノア・ルーズベルト・ヴァルキル勲章」を受章した。
葬儀は家族のみで行われ、遺族の意向により、弔電、供花は固く辞退している。