
「サンパウロ市にミナス料理店が50店ぐらいあるけど、ほとんどがセナドール・フィルミーノ市出身。もちろん、私も。どうしてか知っている?」-という、店主側からの興味深い問いかけでこの取材が始まった。ミナス料理店「Graça Mineira(グラサ・ミネイラ)」オーナー、マリア・ダス・グラッサスさんとの会話だ。

確かにその通りで、以前から謎だと思っていたので「ぜひ理由を知りたい」と尋ねると、サンパウロ市におけるミナス料理店の老舗コンスラード・ミネイロの創立が1991年、グラッサ・ミネイラが1993年で、両店とも創業者の出身地がセナドール・フィルミーノで、共に故郷から次々に労働者を呼び、ここで働いてノウハウを覚えて次々に独立していった結果、今のようにミナス料理店が増えたのだという。
同市はミナス南西部に位置する人口7千人余りの小さな町。マリアさんは「うちも10人兄弟で貧しかった。教師をしていたけど、仕事を求めて出聖した。元々料理が好きだったから、店を始めたの。最初のお店は客席90人分だった。それから4回いつも同じ通りで移転して、現在は290席まで大きくなった」と振り返る。

ミナス料理は、豪華ではないが心と体が満たされる、まさに「ブラジル版の田舎のおふくろの味」と言える料理だ。「味の基本はニンニク、週に80〜100キロ使うわよ」とのこと。ミナス州人のソウルフード「メシーダ・ミネイラ」を試しに食べると、ほぐし塩漬け牛肉(カルネ・デ・ソウ)を使ったブラジル風炒飯という趣で、しっかりとニンニク風味があった。「実はこの料理、夕飯のオカズの残りを翌日ご飯に混ぜて食べたら美味かったことから始まったのよ」とのこと。
以前ミナス出身者から「Não tem nada melhor que uma mexida bem feita da minha mãe.」(うちの母さんのメシーダほど旨いもんはないよ)と言われたのを思い出す。残り物だけに家庭の味が詰まっているのだろう。
マリアさん曰く「お客の3割は日系人で、なぜか彼らの多くはフランゴ・コン・キャーボ(鶏肉とオクラの煮込み)を注文するの。これを注文するのは、なぜかミナス州人と日系人」とのこと。 トゥトゥ・デ・フェイジョン(豆のピューレ)、ファロッファ、トルレズモ(豚の皮のカリカリ揚げ)と一緒に食べるのが定番。
ミナスでは日曜日の昼食や、親戚が集まるときに振る舞われることも多く、家庭の温かさを象徴する料理。オクラのぬめりが「とろみ」として鶏の旨味を包み込む愛情料理だ。
他にもパルメジアーナ、豚スペアリブのロースト、バカ・アトラーダ(キャッサバ芋と牛肉の煮込み)、ジョエーリョ・デ・ポルコなどが人気だとか。
お酒が好きな人は、火~土曜日午後4時からの「ハッピーアワーサービス」がお勧めだ。リングイッサ、唐揚げ、パンセタ(豚バラのグリル)、パイオ(ガーリックソーセージの玉ねぎ炒め)、ミニパステウ(チーズ、牛肉、カルネ・デ・ソウ)、ポテトフライ、ガーリックパンなど全20種類のおつまみが食べ放題で、デザートも一人一品ついてなんと69・90レアル。カイピリーニャは一杯注文すると一杯おまけがついてくる。
広い店内では誕生日会、同窓会、会社のセミナーなどイベント貸切にも対応可だ。
場所は地下鉄サンタクルス駅すぐそば!
店舗情報
営業日:火曜日~土曜日11時半から23時、日曜日11時半から16時半
定休日:月曜日
住所:Rua Machado Bitencourt, 75 – Vila Mariana, São Paulo – SP, 04044-000
電話:(11)5579-9686
WhatsApp delivery: (11) 99901-9686