エネルギー転換の足枷に=銅需要が急増で不足リスク

パラー州パラウアペバスの銅と鉄の鉱山を訪問したルーラ大統領とVale社の従業員達(© Ricardo Stuckert/PR)

 銅不足が、エネルギー転換におけるボトルネック(瓶の首の意、停滞を招く工程)となり、世界がリスクに直面すると専門家が警告していると6日付G1サイトなど(1)(2)が報じた。
 銅は電気自動車や風力タービン、太陽光パネルなどの生産や世界中で急速に拡大する必要がある送電網にも欠かせず、クリーンエネルギーの静かなモーターとも呼ばれる。鉱業分野の専門家と連邦政府は、そんな銅の需要急増によって供給不足が起き、それがボトルネックになるとして、解決すべき喫緊の課題だと警告している。

鉱山動力省(Saulo Cruz/MME)

 一例は、鉱山動力省鉱物変換技術局のロドリゴ・コタ局長だ。同氏は、世界経済の電化には過去に採掘されてきた量以上の銅を2040年までに採掘する必要があると見ている。
 国際エネルギー機関によると、世界中の銅の需要は2040年までに3670万トンに達する見込みだ。これは2024年比で約40%増で、この内の45%はエネルギー転換によるものだ。先のコタ氏は「世界は自動車、交通機関、産業など、あらゆるものを電動化しているが、これは堅牢な充電ネットワークがなければ実現できず、大量の銅が必要となる」と述べている。
 ブラジルは世界第12位の1120万トンの銅埋蔵量が確認されており、24年の銅鉱石輸出額は鉄鉱石に次ぐ大きな額の41・6億米ドルを記録。パラー州、ゴイアス州、マット・グロッソ州、バイア州などで13の大規模銅プロジェクトを進めているが、製錬銅は依然、チリや中国などから輸入している。
 新規鉱山の操業開始には10年以上かかる例もあり、採掘に時間がかかる。ブラジルでは港湾、輸送といった物流、環境面での規制、国際価格の不安定さ、経済的に採算の取れる新たな埋蔵量の不足、熟練労働者の不足などの課題もあり、銅のリサイクルや銅への依存度が低い技術の開発なども必要だ。
 銅は石油同様、世界経済の温度計とも考えられている。

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