稲盛氏訃報に悲しみの声=ブラジルでも7度経営哲学講演

稲盛氏訪伯時の写真1(提供写真)稲盛氏来伯時の写真(提供写真、2013年5月)
稲盛氏来伯時の写真(提供写真、2013年5月)

 京都セラミック創業者の稲盛和夫氏が24日、老衰により亡くなった。行年90歳。稲盛氏は同氏の経営哲学を学ぶ「盛和塾ブラジル」の講演の為、7度ブラジルを訪れている。稲盛氏の訃報に際し、盛和塾ブラジルと後継団体「ブラジル経営哲学研究所」関係者から悲しみの声が寄せられた。

 稲盛氏は、京セラを創業し、一代で世界的な企業にまで成長させた。経営破綻した日本航空(JAL)の再建にも尽力し、同氏の経営哲学を学ぶ盛和塾は最盛期、日本国内に56支部、海外に48支部出来、全世界約1万4千人の経営者が学んだ。
 盛和塾ブラジルは、稲盛氏の経営哲学に感銘を受けた中井成夫さん(80歳、兵庫県神戸市出身、元日本学生海外移住連盟、アマゾン・フローリング社創業者)らが1993年に設立。2019年、稲盛氏の高齢を理由に日本の盛和塾が解散したことを受け、同塾も解散した。現在は盛和塾ブラジルメンバーが後継団体「ブラジル経営哲学研究所」を立ち上げ、稲盛氏の経営哲学を学んでいる。
 盛和塾ブラジル設立に携わり、稲盛氏を「アニキ」と慕う中井さんは、「盛和塾ブラジルの開塾に駆けつけてくれたアニキは、『如何に金儲けをするか』ではなく、『日本人の魂』を教えてくれた。アニキ有難う。安らかに」と語った。
 ブラジル経営哲学研究所代表世話人の板垣勝秀さん(74歳、北海道出身、パナメジカル・システマス創業者)は、「報道を聞いた時、胸が引き裂かれるような悲しみを覚えました。本当に悲しく残念ですが、塾長が残してくださった『人としての生き方』と『経営哲学』は一生の財産。これをさらに発展させるため、ブラジル経営哲学研究所で尽力したいです」と時折声を詰まらせながら語った。
 ミナス州で熱帯果実栽培を行うブラスニッカ社創業者の山田勇次さん(75歳、北海道出身)は、1996年に盛和塾ブラジルに入塾。同塾世話人代表も務め、盛和塾第12回全国大会で最優秀賞に輝いた。ブラスニッカ社は国内有数のバナナ生産量を誇り、山田さんは「バナナ王」としても知られている。
 山田さんは「稲盛さんが亡くなり本当に悲しいです。入塾当初は1回2時間の講義のために往復3日かけてサンパウロ市まで参加していました。会社を経営する上で稲盛哲学には多大な影響を受けました。これからも稲盛哲学をブラジルに伝えるよう貢献していきたいです」と語った。

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