
ブラジル日本文化福祉協会の会長として、1908年6月18日に笠戸丸がサントス港に到着し、最初の日本人移民がブラジルに渡ってから117年を迎えるこの節目の年に、心よりお祝い申し上げます。
現在、ブラジル日系社会がブラジル社会に完全に溶け込み、その発展に積極的に貢献している姿を見ると、先人たちが直面し、克服しなければならなかった困難、そしてほぼ乗り越えられないと思われた障壁の大きさを、今を生きる私たちが完全に理解することは到底できないでしょう。
果たされることのなかった約束、命を脅かす熱帯病、そして第二次世界大戦。それらの苦難は、多大な勇気、犠牲、忍耐、そしてたゆまぬ努力によってようやく乗り越えられ、遥か先に、より良い日々への最初の希望の兆しが見えるまで続いたのです。
今回、特に強調したいことは、先人が子どもたちを「学び」と「労働」へと導いたその先見の明です。当初、子どもたちの教育には多大な費用がかかるため、大家族では年長者たちが協力して働き、年少者に教育の機会を与えるという選択がなされました。その結果、多くの末子たちが学校へ通い、大学に進学することができました。若い世代は、親や祖父母から「自分自身の社会的向上のために学び働くと同時に、兄弟姉妹にも学ぶ機会を与えなさい」と教えられて育ったのです。
こうした教育方針のもと、ブラジルの日系人は全国平均を上回る高い教育水準を誇り、経済・文化のあらゆる分野で活躍し、今日のブラジルの発展を支える重要な力となっています。このような歴史とその成果に対し、先駆移民、そしてその子孫の皆様に、心より深い感謝の意を表します。皆様の努力と献身によって、現在の日系社会の確固たる基盤が築かれたことに深く敬意を表します。
また本年、1895年11月5日にフランス・パリで締結された「日伯修好通商航海条約130周年」迎えることに対しても祝賀致します。この条約の署名により、日本とブラジル、特にサンパウロ州との間で移民受け入れの交渉が可能となり、1888年5月13日の奴隷制度廃止に伴う農業、特にコーヒー農園における労働力不足を補うため、日本人移民の受け入れが実現しました。
この条約締結により、笠戸丸に乗船した最初の781名の日本人移民がブラジルに渡り、現在では約270万人からなる日系人社会が築かれるに至ったのです。
そして何より特筆すべきことは、本年の「日伯友好交流年」のもと、ルーラ大統領の訪日に加え、皇室を代表して5月5日から15日にかけて佳子内親王殿下のご来伯を賜ることでございます。サンパウロにおいては5日、6日、7日の3日間にわたり、精力的なご日程をお過ごしになるご予定です。ブラジル日系社会一同、佳子内親王殿下を心を込めて奉迎したいと存じます。
海越えて つながる想い 日伯の
友の絆よ とこしえにあれ!