「生きててよかった」――6日、ブラジル日本文化福祉協会(文協、西尾ロベルト)の大講堂で佳子さま歓迎式典が行われた。ご退場される際、佳子さまは最前列に座っていた参加者一人一人と握手とお話を交わし、来場者からはそんな声が漏れていた。
参加者に感想を聞くと、客席の最前列で佳子さまとお話をされた山本エツコさん(85歳、香川県出身)は「嬉しくて涙がでそうです。日本語で話せばいいのにポルトガル語混じりで話しちゃいました」と感激を露わにした。現在サンパウロ日伯援護協会が経営する老人ホーム「さくらホーム」に入居しており、毎日体操をしたり絵を書いたりして楽しく生活しているという話を佳子さまにしたという。

最前列で佳子さまと言葉を交わした瀬古サダコさん(95歳、大阪府出身)は「こんなに近くで見れると思ってなかったのに、お話まで出来てとても感激です。手がとても温かかったです。この年まで生きててよかったです」と笑顔で語った。佳子さまに「元気でいてください」とのお言葉をいただいたという。
吉岡ハツヨさん(85歳・2世)は「歩くのが大変でしたがとても感激しました。綺麗な格好でこれてよかったです」と述べた。
式典中、合唱を行った大志満学園の生徒たちは「とても親切で教養のある方ですよね。唯一無二の経験ができてとても嬉しいです。明日の学園訪問もとても楽しみにしています」と喜んだ。
佳子さまにお花の贈呈を行ったエミリさんは「どうぞ、お受け取りください」と日本語で声をかけたら、佳子さまから「お花の贈呈をありがとうございます」と言われたと話した。

後部客席の通路側にいた多川富貴子さん(89歳、三重県出身)にもお声をかけられ、人生模様をお聞きになり、佳子さまは最後に抱擁までしたため、周りから拍手が上がった。
多川さんにどんな話をしたのかと聞くと、「心待ちに待っておりましたという話をしました。26歳でブラジルに来て、89歳になりました。私もこれが最後になるかもしれません。お姉さまの眞子さまによろしくと言いました。いろんな話をして、みんな聞いてくださったですよ」と喜んだ。

隣に座っていた田中ネルソンさんによれば「多川さんがご自分のお姉さんが亡くなった時の話をされたとき、佳子さまはアブラッソ(抱擁)されました」とのことだった。
今年入植110周年を迎えるカフェランジアの平野植民地から来ていた森部セシリア婦人部長は「2018年にお姉様の眞子様が我々のところにご訪問くださった時のことを思い出しました。半年前からみんなで歓迎の準備をした。慰霊碑の献花をしてくださり、本当にありがたかった。またいつか皇室の方に来ていただければ」と願っていた。同地は入植初期の1915年、開拓半年間で80人以上もの日本人がマラリアで次々と斃れていった血と汗と涙が滲む開拓地だ。