岡山県人会=滝田クラウジオさん個展=伝統的日本をポップアートに=制作過程の動画も公開

東京の夜景をテーマにした作品の横に立つ滝田クラウジオさん

 「伝統的日本をテーマにした現在的ポップアート」――滝田クラウジオさん(3世)の個展「幽玄―インスピラサオ・オリジナリア」が17日から、聖市リベルダーデ地区の岡山県人会会館で開催中だ。
 「幽玄」という日本独自の目に見えるものを超えた美しさを呼び起こす言葉をテーマに、大型パネルに貼った透明なエポキシ樹脂に描き、そこにRGBライトなどを大胆に組み込んだ作風は、実に現在的だ。芸者、太鼓奏者、侍、鯉、龍、桜、北斎の波などの伝統的な素材に加えて、東京の街並みが主要なモチーフとなっている。居酒屋やラーメン店、日本食レストランなどの店内内装にもってこいのアートと言えそうだ。
 「子供の頃にイタケーラの日本語学校に5年間通っただけ」という割に、しっかりした詩的な日本語が作品の中に筆で書かれており、作品世界をさらに広げている。新作を中心に約30点が展示されており、滝田氏の美的調和に対する強いこだわりを感じさせる作品群は、鑑賞者に独特の視覚体験を促す。
 長いこと広告代理店でアートディレクターやデザイナーを務めてきた滝田さんは、「昼は商業アートを目一杯考え、自宅に帰ってからは自分のアートに没頭する生活でした。今はもう広告の仕事はしていません」とのこと。どこか若き日の日比野克彦的な勢いのあるアートだ。
 「今まで43回、展覧会に出品した。個展としては11回目。日本をテーマにしたのは今回初めて。かつては僕ら日系人が日本をテーマにすることに歓迎されない雰囲気を感じたが、今はむしろ喜ばれる。ブラジル人からの反応がとても良くて驚いている。やっぱり漫画やアニメ人気の影響が強い」との手応えを感じてる。
 日本のポップアートに影響を受けたのかと尋ねると、「むしろ米国の現代ポップアートの影響が強い。エポキシ樹脂を使う技法は、その影響中で色々調べながら独自に生み出した」という。
 全ての作品は販売されており、多くの作品に付けられたQRコートからは制作過程の動画が見られるようになっている。収益の一部は岡山県人会に寄付される。個展は6月8日までの火曜日から日曜日。午前10時から17時まで。入場無料。場所はリベルダーデ区グロリア街730番。

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