
日本移民が神戸を出港する前に宿泊していた旧移民収容所、現神戸市立「海外移住と文化の交流センター/移住ミュージアム」を4月28日、秋篠宮家の佳子内親王殿下が訪問された。日伯外交関係樹立130周年にあたる今年、6月5日から佳子さまはご来伯される予定。それに先立ってブラジル日本人移住の歴史とブラジルから日本に来て暮らす人々の状況についてご見識を深めるため、同交流センターをご視察された。
同交流センターを運営する日伯協会(池田育嗣理事⾧)の広報によれば、季節柄、ちょうど庭に咲いた満開のイペー(ブラジル国花)がお出迎えする形となり、佳子様はたいへん喜んでおられたという。移住ミュージアムでのご案内は中牧弘允・国立民族学博物館名誉教授が務め、池田理事⾧らも随行した。
ご案内中、佳子内親王殿下は何度も足を止められて展示資料や写真を熱心にご覧になり、多くのご質問をされた。移住者が過ごした寝室のコーナーでは、実際にベッドにお座りになって感触を確かめられた。1階・2階の移住ミュージアムご見学のあと、5階講堂に案内した。窓から一望できる神戸の海と街並みをご覧になりながら、ここで過ごした移住者たちの生活に想いを馳せられた。
その後、関西在住ブラジル人の支援活動を行う関西ブラジル人コミュニティ(CBK)の活動現場に足を運ばれ、子供らが描いた絵をご覧になると、両国の交流に感銘を受けられたご様子だった。
最後の懇談会では、CBKの活動報告の中で在日ブラジル人が直面する多くの課題に耳を傾けられ、将来に向けた取り組みなどを熱心に聞き入られた。池田理事⾧が日伯協会の概要を説明したあと、日系ブラジル人の来館者に先祖の移住記録を提供する活動を井澤誠一事務局⾧が紹介すると、多くの移住者たちの貴重な記録が今なお残されて検索できることに驚かれた様子だった。

同交流センターには、2009年に現天皇陛下、2015年に秋篠宮文仁親王殿下と同妃紀子殿下、2016年に眞子内親王殿下(当時)が来館された。1928年に国立移民収容所(当時)として完成したこの建物は、ブラジル移住者たちが日本を旅立つ最後の日々を過ごした施設だ。
同交流センターでは「当時の面影のまま、日本で唯一現存する海外移住関連の建物であり、ここに設置された移住ミュージアムは神戸市の指定管理で日伯協会が運営を受託しています。ぜひ足をお運びください。皆様のご来館をお待ちしています」と呼びかけている。住所は神戸市中央区山本通3丁目19―8、電話078・230・2891、Eメールizawa@nippaku-k.or.jp、サイト(www.nippaku-k.or.jp/)