【14日の市況】Ibovespaは14日終値ベースで過去最高値を更新して13万8963.11ポイント=市場に広がる楽観論、年初からの上昇率はすでに15.5%

 ブラジル株式市場の代表的な株価指数であるIbovespa(イボベスパ)は14日、終値ベースで過去最高値を更新し、13万8963.11ポイントで取引を終えた。前日比1.76%高で、取引時間中には初めて13万9千ポイント台に乗せ、13万9418.97ポイントを記録した。年初からの上昇率はすでに15.5%に達しており、ブラジル市場には強気のムードが広がっている。

 この記録的な上昇の背景には、一時的な好材料にとどまらない構造的な要因があると、GCBインベストメントのチーフ・ストラテジスト、ルーカス・コンスタンチーノ氏は分析する。米国の消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことや、ブラジルの中央銀行が利上げ局面の終了を示唆したことなどが直接のきっかけとはなったが、本質的には為替の安定、将来金利の低下、そして依然として割安に放置されている株式バリュエーションが、上昇の主因だという。

楽観の土台、国内外からの支持

 2024年を通じて続いた悲観ムードから一転し、2025年に入り投資家のセンチメントは明確に改善している。世界の投資マネーが米国から新興国へと向かう中で、ブラジル市場もその恩恵を受けている。また、企業業績もおおむね堅調で、こうしたファンダメンタルズが市場の上昇を支えていると、複数の市場関係者が指摘する。

 国内証券大手XPインベストメントは5月に公表したレポートで、「マクロ経済リスクがあるにもかかわらず、ブラジル株式市場には引き続き強気の姿勢を維持している」と述べた。XPは、2025年末時点でのIbovespaの公正価値を14万9千ポイントと予測している。

 また、ブラデスコBBIは最近、ラテンアメリカ地域におけるブラジルの比率を引き上げた。同行は「ラテンアメリカ市場全体が2025年に世界で最も好調なパフォーマンスを見せている」と指摘し、ブラジル市場に対しても強い信頼を寄せる。ブラジル市場について「アイデア(割安株)に水が与えられ、ようやく発芽し始めている」と表現した。

割安な評価、金利低下で再評価の余地も

 ストラテジストらによれば、Ibovespaは依然として過去の平均水準と比較して割安なバリュエーションで取引されており、これは主に依然高水準にある政策金利(Selic)の影響で高いリスクプレミアムが株式に織り込まれているためだという。

 しかし、ブラジル中央銀行が近く金融引き締め局面を終了する可能性が高いとされる中、市場では金利の天井打ち感が強まりつつある。こうした環境変化は、株式を含む国内資産の再評価を促す転機となるとの見方が広がっている。

 米銀大手バンク・オブ・アメリカ(BofA)も、ブラジル市場に対してオーバーウェイトの推奨を続けており、2025年末のSelicは市場予想の12%超に対して11.25%と、より積極的な利下げを見込んでいる。低金利環境の定着は企業の利益成長や株価の割高感解消につながる可能性があり、「債券に似た特性を持つ株(ボンド・プロキシーズ)や、質の高い成長株に追い風となる」と指摘する。

セクター別の注目銘柄、利下げ恩恵を受ける企業群

 BofAは、投資先として公益(電力・水道などのインフラ)、運輸、ショッピングセンター、通信などのセクターに注目しており、これらは金利低下の恩恵を直接受けやすいとする。また、ポートフォリオには、電力会社コペル(CPLE6)を新たに組み入れ、製鉄大手ゲルダウ(GGBR4)を除外した。その他、ロハス・ヘネール(LREN3)、JBS(JBSS3)、アサイ(ASAI3)、ペトロブラス(PETR4)、ブラデスコ(BBDC4)、イタウ(ITUB4)、BTGパクチュアル(BPAC11)、ハプビダ(HAPV3)、ロカリザ(RENT3)、エンブラエル(EMBR3)、バーレ(VALE3)、ムルチプラン(MULT3)、テレフォニカ・ブラジル(VIVT3)、サベスピ(SBSP3)、エクアトリアル(EQTL3)なども組み入れている。

 BofAのデータ分析部門による5月の調査では、ラテンアメリカ地域の機関投資家のうち43%が「2025年末にIbovespaは14万ポイントを超える」と回答しており、前月の18%から大きく増加した。

 資産運用会社モンテ・ブラボもIbovespaの2025年の目標水準を引き上げ、従来の13万8千ポイントから15万ポイントに修正した。背景には、インフレ見通しの改善と、それに伴う金利カーブの低下が挙げられる。

懸念材料も並行して指摘

 楽観ムードの中でも、警戒すべき点は残されている。XPは「リスクプレミアムの縮小」「企業利益の伸び鈍化」「国外資金への依存度」「テクニカル面での過熱」「マクロ経済上の不確実性」といった5つのリスクを挙げており、慎重な姿勢も崩していない。

 ブラデスコBBIもまた、「依然として高水準のリスクプレミアムが存在しており、市場は金利低下を先取りして動いているが、過度な期待には注意が必要だ」と警鐘を鳴らす。

 それでも多くのアナリストは「ブラジル株式市場の時代が、いよいよ到来するかもしれない」との見方を強めている。2026年10月の大統領選挙に向けた市場の関心も徐々に高まり始めており、政治的日程が市場に与える影響も今後は見逃せない。

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