【14日の市況】Ibovespaは前日比1.39%高の12万9,453.91ポイント、2日連続で1%超上昇=ドルは0.34%下落して5.851レアルに=アルゼンチンが変動相場制へ移行

 ブラジルの株式市場は週明け14日、前週に続き2営業日連続で1%超の上昇を記録した。代表的な株価指数「イボベスパ(Ibovespa)」は前日比1.39%高の12万9,453.91ポイントで取引を終え、12万9,955.35ポイントまで上昇する場面もあった。主力銘柄である資源・金融関連株が相場を牽引した。

 外国為替市場では、ドルは対レアルで0.34%下落し、1ドル=5.851レアルとなった。金利先物市場では、全体的に利回りが低下し、投資家心理を支えた。
 米国のトランプ前政権による輸入関税をめぐる不透明感が続くなか、政府が自動車および部品に関する関税の一時免除を検討しているとの報道が市場を安心させた。すでに電子機器類の関税は一部緩和されており、こうした措置が株高の一因となっている。ただし、同政権は今後、半導体や医薬品分野への関税強化を検討しており、警戒感は根強い。
 米国市場もこれに反応し、ニューヨークの主要株価指数は軒並み1%超上昇した。特に、金融大手ゴールドマン・サックスの好決算が投資家心理を支える要因となった。

業種別動向

 ブラジル国内では、鉄鉱石価格の回復を背景に資源関連株が上昇。ヴァーレ(VALE3)は1.30%高となった。また、イタウ・ウニバンコ(ITUB4)をはじめとする主要銀行株も軒並み上昇した。高金利環境下においても、金融機関は堅調な運用成績を維持するとの見方が広がっている。
 鉄鋼各社もトランプ政権の関税緩和を好感。CSN(CSNA3)は3.82%、ゲルダウ(GGBR4)は3.20%上昇した。
 一方、航空会社アズール(AZUL4)は新規株式発行を発表したことで、12.33%高と急騰。エンブラエル(EMBR3)も3.33%高と反発した。
 小売セクターでは明暗が分かれた。カルフール(CRFB3)は第1四半期業績の速報値発表後に0.12%下落したが、GPA(PCAR3)は3.94%上昇し、関連企業グループの保証に関する見解の維持が好感された。
 ショッピングセンター運営のイグアテミ(IGTI11)も、不動産売却を発表したことで2.11%高となった。
 ただし、国営石油大手ペトロブラス(PETR4)は0.38%下落。原油価格が安定的に推移するなかで、同社株は一時上昇する場面もあったが、終値ではマイナスとなった。

ブラジルと米国の貿易、過去最高を更新

 同日、米国商工会議所(Amcham Brasil)は2025年第1四半期におけるブラジルと米国間の貿易額が200億ドルに達し、前年同期比6.6%増となったと発表した。ただし、貿易収支は6億5400万ドルの赤字であった。
 一方、ミナス・ジェライス連邦大学(UFMG)の研究によれば、米中間の貿易戦争によりブラジルの国内総生産(GDP)はわずかに0.01%成長すると予測されているが、地域によって影響に大きな差があることが明らかになった。中西部および南部では大豆輸出の増加により恩恵を受けるが、工業が集積するサンパウロ州とミナス・ジェライス州では、それぞれ約40億レアル、11億6千万レアルの経済損失が生じる可能性がある。
 世界全体では、同研究はGDPが0.25%減少し、貿易量が2.38%落ち込むと予測している。

アルゼンチン、為替規制撤廃で投資促進へ 変動相場制へ移行

 アルゼンチン政府は14日、これまでの厳格な為替管理制度、通称「セポ」を撤廃した。国際通貨基金(IMF)との合意に基づき、変動相場制へと移行したことで、経済の自由化が一歩前進した形だ。
 新たに導入された制度では、為替相場は1ドル=1,000〜1,400ペソの範囲に収められ、アルゼンチン中央銀行が相場の急変時に介入する仕組み。14日の取引開始時点では、1ドル=1,250ペソと、前週末比で約15%のペソ安となった。
 これにより、これまで月200ドルまでに制限されていた個人のドル購入が、自由に行えるようになり、外国送金や外貨建て貯金も可能となった。
 経済効果について、専門家は「これまで外国資本流入の障壁となっていた為替管理の撤廃により、投資環境が大幅に改善する」と期待を寄せている。IMFの見通しでは、アルゼンチン経済は2025年に5.5%成長すると予測されており、2024年のマイナス1.7%からの大幅な回復が期待される。
 もっとも、為替自由化による物価上昇リスクも指摘されている。為替に連動するストリーミングサービスや電力料金など、一部の生活費に影響が出ると見られている。IMFは2025年のインフレ率を18~23%と予測しており、2024年の118%から大きく低下する見通しだ。

最新記事