【17日の市況】Ibovespaは前日比1.04%高の12万9,650.03ポイント=ドルは約1%下落して5.804レアルに

 17日、ブラジルの代表的株価指数Ibovespa(イボベスパ)は前日比1.04%高の12万9,650.03ポイントで取引を終え、4営業日と短い週にもかかわらず、週間では1.54%高と堅調に推移した。明日からの祝日と週末を控え、投資家心理はやや楽観的に傾いた。
 資源株では、鉱山大手ヴァーレ(VALE3)が0.61%上昇。前日までの下げから反発した。原油高を受けて国営石油会社ペトロブラス(PETR4)も1.93%上昇した。ディーゼル燃料の価格引き下げ発表も好感された。
 教育関連株は大きく買われた。米系大手銀行による投資判断引き上げを受け、アニマ(ANIM3)は17.87%高、イデュークス(YDUQ3)は10.90%高と急伸。格下げ対象となったコグナ(COGN3)やセール(SEER3)も、それぞれ5.60%、4.76%上昇した。
 一方、米国では経済指標や通商問題への懸念がくすぶる中、主要株価指数はまちまちの展開となった。ドナルド・トランプ大統領がFRB(米連邦準備制度理事会)に対して再び利下げを求める発言を行い、市場の混乱を招いている。欧州ではECB(欧州中央銀行)が政策金利を0.25ポイント引き下げたが、欧州株は下落した。
 17日の外国為替市場で、ブラジルの通貨レアルは対ドルで上昇し、ドルは約1%下落して1ドル=5.804レアルで取引を終えた。明日からの聖金曜日による休場を前に、米中貿易協議の進展期待が市場心理を押し上げた。週単位では、ドルは1.07%安となった。
 ドナルド・トランプ米大統領はこの日、「日本との間でも関税協議において大きな進展があった」と述べ、米中に限らず複数国との交渉に自信を示した。こうした発言を背景に、ドルは対新興国通貨で幅広く売られた。
 4月全体では、ドルは依然として対レアルで1.75%の上昇となっており、月間ベースではなおブラジル通貨に対して強含んでいる。

米中摩擦の影響でレアアースに注目 ブラジルの鉱山が戦略資源の供給源に

 こうした国際情勢の中、米中間での戦略資源確保競争が激しさを増している。米紙ニューヨーク・タイムズによると、米国資本が支援するブラジル中部のミナス州にあるセラ・ヴェルデ鉱山が、アジア以外では数少ない「重希土類(ヘビーレアアース)」の供給拠点として注目を集めている。
 この鉱山は電気自動車や軍事用ミサイル、ドローンに必要不可欠な希土類を産出するが、現時点では生産された希土類のほぼすべてが中国向けに契約済みであり、西側諸国は供給網の確保に出遅れているのが現状だ。
 セラ・ヴェルデの親会社CEOであるトラス・モライティス氏は、「当時は中国以外に精製能力を持つ顧客が存在しなかった」とし、中国の長期的な戦略の巧妙さを認めつつ、「現在は米国を含む各国政府から問い合わせが急増している」と述べた。
 中国は現在、世界のレアアース市場で採掘・精製の両面において支配的な地位を築いている。西側諸国でも精製施設の建設が進められているが、稼働までには数年かかる見通しで、供給の偏在はすぐには解消しそうにない。
 MPマテリアルズ(米カリフォルニア州)のように、米国でも軽希土類の生産は進んでいるものの、重希土類の分離精製は依然として中国に依存している。MP社は国防総省の資金援助で精製能力の強化を目指しているが、商業化には時間を要する。
 セラ・ヴェルデは2027年までに数百トン規模の重希土類を生産する計画で、世界市場における供給量をアジア以外で2倍に引き上げる可能性がある。ただし、同鉱山の資源が実際に西側諸国に流れるかは、今後の契約交渉次第だ。
 「今や誰もが欲しがる資源だが、すでに中国向けで埋まっている」とモライティス氏は語る。

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