【20日の市況】ブラジル株、初の14万ポイント台で取引終了 金融・資源株に支えられ最高値を更新=モルガン・スタンレー、ブラジル株を推奨

 ブラジル株式市場の代表的株価指数であるIbovespa(イボベスパ)は14日、終値ベースで初めて14万ポイントを超え、過去最高値を更新した。指数は前日比0.34%高の14万109.63ポイントで取引を終え、取引時間中には一時14万243.86ポイントまで上昇した。出来高は217億レアル(約4,360億円)に達した。

 同指数は前日に続き最高値を塗り替えたが、取引中は上下に振れる場面もあった。教育関連銘柄が急落する一方で、食肉大手やエネルギー株などが市場を下支えした。

米市場は軟調、貿易摩擦が重し 欧州株は堅調に推移

 一方、米国市場では主要3指数が下落し、S&P500種株価指数は0.39%安で6営業日ぶりの反落となった。米国債利回りの上昇が株式市場の重しとなり、債務構造や貿易政策に対する先行き不透明感が再燃している。

 米U.S.バンク・ウェルスマネジメントの最高投資責任者(CIO)であるビル・ノーシー氏は、CNBCに対し「関税導入による株価下落と、その後の緩和観測による反発を経て、現在は交渉の行方を見守る段階にある」と述べた。米国経済の先行きには依然として不確実性が残り、ドルの国際的な地位にも疑問の声が出始めている。

 これに対し欧州市場はリスク選好の流れが強まり、主要国の株価指数は堅調に推移した。

国内景気は底堅く、利下げ観測は後退

 ブラジルでは、中央銀行が公表した経済活動指数(IBC-Br)が3月に市場予想を上回る伸びを示した。投資会社XPのストラテジスト、レイチェル・デ・サ氏は「農業部門を除いても、産業やサービス分野の回復力は顕著であり、国内経済は総じて堅調だ」と指摘した。こうした中、利下げに踏み切る余地は限定的との見方が広がっている。

 財政面では、政府が検討している所得税の税制改正が、歳入に与える影響として1,000億レアルの減収になるとの試算もあり、懸念材料となっている。

教育関連が急落 航空株は急騰

 個別銘柄では、教育関連株が大幅に下落した。教育省が発表した遠隔教育(EAD)に関する新規制が影響したもので、コグナ(COGN3)は7.79%安、Yduqs(YDUQ3)は5.07%安とそれぞれ急落した。構造的コストの増加が避けられないとの見方が広がっており、収益性への悪影響が懸念されている。

 一方、ペッツ(PETZ3)は1.39%高となった。ペット用品販売大手の同社が、同業コバシとの合併について、独占禁止当局(CADE)による承認が近いとの報道が支援材料となった。

 銀行株は方向感に欠ける展開で、バンコ・ド・ブラジル(BBAS3)は1.84%高、ブラデスコ(BBDC4)は0.97%高となった一方、イタウ・ウニバンコ(ITUB4)は0.13%安、サンタンデール・ブラジル(SANB11)は0.10%安で引けた。

 資源株もまちまちの動きとなった。鉄鉱石先物価格が中国市場で上昇したにもかかわらず、ヴァーレ(VALE3)は取引終盤にかけて伸び悩み、0.02%高にとどまった。ペトロブラス(PETR4)は国際原油相場の下落により上値が重かったものの、環境当局(IBAMA)からアマゾン河口盆地での探鉱に関する事前承認を得たことが支援材料となり、0.41%高で終了した。

 航空会社ゴル(GOLL4)は12.09%高と急騰した。米国で進めていた連邦破産法第11章(チャプター11)による再建計画が裁判所に承認されたことを受けて、6月には再建手続きからの離脱が見込まれている。一方、アズール(AZUL4)は0.92%安だった。

モルガン・スタンレー、ブラジル株を推奨

 米モルガン・スタンレーは、ラテンアメリカ株式市場に対する見方を「強気」に変更し、特にブラジルに関しては、リスクとリターンのバランスが改善し、悲観的なシナリオから楽観的なシナリオへの転換が進んでいると評価した。

 同社はレポートで、ドル安傾向や世界的な金利低下、関税交渉の進展がブラジル市場に追い風となる可能性を指摘し、ブラジルの市場評価を「オーバーウェイト」に引き上げた。政策金利がピークを打ち、今後の利下げが視野に入るとの期待も背景にある。ただし、財政リスクの高さには引き続き警戒が必要との見方も示された。

最新記事