【8日の市況】Ibovespaは前日比2.12%高の13万6,231.90ポイント、過去最高値を更新=ドルが.47%下落して5.661レアル

 ブラジル株式市場の主要株価指数であるIbovespa(イボベスパ)は8日、前日比2.12%高の13万6,231.90ポイントで取引を終え、過去最高値を更新した。取引時間中には一時13万7,634.57ポイントまで上昇し、2024年8月28日に記録した13万7,469.26ポイントの最高値を上回った。国内外の好材料が重なったことで、投資家心理が大きく改善した。

 為替市場では、ドルが対レアルで1.47%下落し、1ドル=5.661レアルと、3営業日ぶりの下落となった。金利先物市場でも、前日の中央銀行金融政策委員会(Copom)による政策金利据え置きと、いわゆる「ハト派的」な声明が好感され、利回りの低下が目立った。

■国際的な貿易合意が追い風に

 市場関係者によると、上昇の直接的な契機となったのは、米国と英国が締結した新たな貿易合意に加え、中国側が米国との貿易協議再開に意欲を示したことだ。トランプ米大統領は今週末に向けて「実質的な交渉が期待できる」と述べ、対中関税についても「145%を超えることはなく、今後は引き下げに向かうだろう」と発言した。
 もっとも、トランプ氏は他国に対して10%の基本関税は引き続き適用されるとし、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長に対しては「利下げをすべき」と改めて圧力をかけた。こうした発言は警戒材料ではあるが、今回に限っては市場の楽観が勝った格好だ。
 米国株式市場でも主要3指数がそろって上昇。欧州市場も同調し、米国の貿易政策に対してEUが依然として報復措置を検討している中でも、買いが優勢となった。

■ブラジル株主力銘柄が軒並み高騰

 国内では、四半期決算を好感した金融株が大きく買われた。なかでもブラデスコ(BBDC4)は15.64%高と急騰。B3(ブラジル証券取引所、B3SA3)も8.37%上昇し、サンタンデール(SANB11)が4.13%、イタウ・ウニバンコ(ITUB4)も0.80%上昇した。
 イタウは同日、2025年1〜3月期の純利益(調整後)を111億2,800万レアルと発表。前年同期比で13.9%増加し、市場予想(LSEG集計の平均:110億レアル)を上回った。金融マージンの改善や収益性の向上が寄与したが、信用供与の減少と貸倒引当金の増加も見られた。
 そのほか、飲料大手アンベブ(ABEV3)は0.70%の小幅高にとどまったが、アッザス2154(AZZA3)は第1四半期決算を受けて22.03%の急騰。C&A(CEAB3)も利益減にもかかわらず13.35%の上昇。ロージャス・ヘネール(LREN3)が7.45%、マガジン・ルイザ(MGLU3)が5.62%、旅行会社CVC(CVCB3)が11.06%上昇するなど、小売・サービス関連も総じて買いが入った。
 ペトロブラス(PETR4)は国際原油価格の上昇を受けて1.39%高。対照的に、鉄鉱石価格の下落が重荷となったヴァーレ(VALE3)は0.30%安となった。

■経済指標も追い風に

 経済指標面でも好材料が相次いだ。3月のブラジル国内生産者物価指数(IPP)は2カ月連続でマイナスとなり、インフレ圧力の後退が確認された。また、ブラジル地理統計院(IBGE)が発表した継続的全国家計調査(Pnad Contínua)によれば、2024年における所得格差は過去最低水準に縮小。雇用の回復と政府の社会政策継続が背景とされ、1人当たり所得も過去最高を記録した。
 9日に発表される4月の消費者物価指数(IPCA)に市場の関心が集まる。投資家はインフレ鈍化を願っている。

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