ブラジルの代表的株価指数「イボベスパ」は、29日の取引で7営業日連続の上昇を記録した。終値は前日比0.06%高の13万5,092.99ポイントと、わずかな上昇にとどまったものの、7営業日続伸は注目に値する。市場では国内金利政策への期待や主要企業の決算、さらにはアメリカの関税政策の行方に対する思惑が交錯し、銀行株や石油公社ペトロブラス(PETR4)などが相場を支えた。
為替市場では、対ドルでのブラジル・レアルの上昇が続き、ドルは前日比0.31%安の1ドル=5.631レアルで取引を終えた。これは8営業日連続の下落となり、4月に入ってからのドル安トレンドを示している。
国内では、中央銀行総裁のガリーポロ氏がインフレ対応の金融政策を継続する意向を示したほか、財政黒字の報道やインフレ抑制を目的とした国債支払い(プレカトリオ)の延期といった材料も好感された。
一方、鉱山大手ヴァーレ(VALE3)は取引中に変動を見せた後、終値で0.37%安と下落。原油価格が国際的に軟調だったにもかかわらず、ペトロブラスは今後発表される生産報告への期待感から0.53%高となった。主要銀行ではイタウ・ウニバンコ(ITUB4)が0.80%、ブラデスコ(BBDC4)が1.12%と、それぞれ堅調に推移した。
その他、エレトロブラス(ELET3)は政府との契約協議が続く中で0.80%上昇し、GPA(PCAR3)は取締役会を巡る報道が材料視され8.00%高と急騰した。鉄鋼大手ゲルダウ(GGBR4)は第1四半期決算が嫌気され、終値では1.16%の下落となった。
一方で、カイシャ・セグリダーデ(CXSE3)は格下げを受けて4.24%安、航空会社アズール(AZUL4)はゴル(GOLL4)との統合を巡る動きに対しサンパウロ州の消費者保護機関(Procon-SP)が公聴会を設定したことが材料となり、10.77%の大幅安を記録。4月単月での下落率は47%を超えている。
トランプ政権、2期目の100日 市場は「不確実性」との戦い続く
アメリカでは、トランプ前大統領による2期目の政権が100日を迎えた。だが、政権発足以降の動向は波乱に満ち、まるで1000日に相当するほどの不確実性が市場を覆っている。特に貿易政策を巡る対外的な緊張は引き続き市場の注目を集めており、中国に対しては、米財務長官が「中国は1,000万人規模の雇用を失う可能性がある」と警告。一方、中国側も「米国の関税には屈しない」との強硬な姿勢を示しており、両国の経済摩擦は長期化の様相を見せている。
自動車業界に関しては、トランプ大統領が「心配していない」と発言しつつも、新たな関税環境に対応するための大統領令に署名。これにより、米国内外の自動車メーカーの事業環境に再び不透明感が漂っている。
米企業決算はまちまち 先行き不透明も
米国では主要企業の第1四半期決算発表が本格化している。自動車大手GMは予想を上回る利益を計上したが、先行きの不透明感から業績予想(ガイダンス)を撤回した。一方、コカ・コーラは純利益が市場予想を超えたものの、売上高が下振れし、2025年の業績見通しを下方修正した。英国のHSBCは好調な収益を報告し、石油大手BPは市場予想に届かなかった。
米労働市場については、3月の求人件数が大幅に減少したものの、解雇件数はむしろ減少し、労働市場の底堅さが改めて確認された。
外国投資家、ブラジル市場への関心強まる イタウBBA調査
ブラジルのイタウBBAが4月23日から28日にかけて実施した調査によると、120人の投資家の間でブラジル市場に対する見方が大きく改善している。調査では以下のような主な結果が報告された。
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投資家心理の好転:評価は0(悲観的)~10(楽観的)のスケールで平均6.89に上昇(前回は5.96)。回答者の80%がブラジルを「通商環境における相対的な勝者」と評価。
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金利の低下期待:今後6カ月で10年物金利が13~14%に低下すると予想する投資家が36%に達した。
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注目セクター:公益(utilities)と大手銀行が最も人気。住宅建設や消費・小売も続いた。反対に、鉄鋼・鉱業などのコモディティ関連は投資比率が低い。
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市場を動かす要因:国内の金利カーブが最大の影響要因とされ、次いで政治と財政の見通し。世界・米国経済のリセッションも62%がリスクと捉えている。
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米株への悲観:米国株に対する評価は5.04と過去最低水準。FRBの金利については、年末時点で3.5~4%と予想する声が多数。
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ブラジル株への資金流入期待:投資家の54%が今後6カ月でブラジル株への投資を増やす意向。
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企業業績見通し:57%が市場コンセンサスを「妥当」と評価。22%は「楽観的すぎる」とし、上方修正の余地は限定的と見られている。
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個別銘柄の注目度:イタウ(ITUB4)、サベスピ(SBSP3)、エクアトリアル(EQTL3)、ロカリザ(RENT3)、エレトロブラス(ELET3、ELET6)が注目株。特にイタウとロカリザは人気が急上昇した。