週末4月19日のブラジル株式市場は方向感に欠ける展開となったが、週間ベースでは大幅な上昇を記録した。主要株価指数であるボベスパ指数はこの日、前日比0.12%高の13万4,739.28で取引を終えた。上げ幅はわずか158.85ポイントと限定的だったが、週間では3.93%の上昇となり、2023年10月以来、最も良好なパフォーマンスを示した。連日の上昇は5営業日連続となった。
通貨市場では、ブラジル・レアルも小幅ながらドルに対して上昇した。ドルは前日比0.08%安の1ドル=5.687レアルで引け、週間では2%を超える下落となった。一方、債券市場では利回りの上昇がみられ、デリバティブ金利(DI)は全般的に上昇した。
米欧市場も堅調 米中貿易摩擦の緩和に期待
外国市場もおおむね堅調だった。米国株式市場では主要3指数がいずれも上昇。欧州市場では株価が3週間ぶりの高値をつけた。背景には、米中間の貿易摩擦に関する緊張緩和の兆しがある。
中国は米国からの一部輸入品について、125%に設定されていた関税を免除する方針を発表。加えて、中国企業に対し、関税免除の必要性が高い品目の申告を求めた。これにより、市場では米中関係の緩和に対する期待感が広がっている。
一方、米国のトランプ大統領は、中国側が譲歩しない限り関税撤廃には応じないとの立場を表明。両国の交渉は継続されているものの、中国側は交渉の存在自体を否定しており、不透明感はなお残る。
インフレ指標は市場予想通りも、食品価格が懸念材料に
国内では、4月のインフレ指標「IPCA-15(消費者物価指数の速報値)」が発表された。結果は市場予想通りの水準だったが、食品価格の上昇が依然として重しとなっている。G5パートナーズのチーフエコノミスト、ルイス・オタヴィオ・レアル氏は「静止画(今月単体の数値)は良好だが、映画(トレンド)はなお懸念が残る」と述べた。前年同月の0.21%に対し、今年の同月は0.22ポイント高くなっており、インフレ圧力は依然強い。
企業決算、VALEとAZULが大幅安 MRFGが急騰
企業決算では、資源大手ヴァーレ(VALE3)の2025年第1四半期決算が注目された。同社の純利益は13.94億ドルで、前年同期比17%の減益となった。鉄鉱石価格の下落(前年比16%)が影響した。株価はこの日2.64%下落し、週間を通じても軟調な推移が続いた。
航空会社アズール(AZUL4)は、資金調達のための新株発行が市場の期待を下回ったことを受け、株価が2日間で合計36%以上下落。19日も17.37%安と大幅に売られた。
一方、食肉加工業界では明暗が分かれた。マルフリグ(MRFG3)は8.45%高、ミネルバ(BEEF3)は4.40%高と大きく上昇。ペトロブラス(PETR4)は原油価格の小幅な上昇を受けて0.30%高となった。銀行株はまちまちだったが、ブラジル銀行(BBAS3)は1.12%高と堅調だった。
来週は短縮取引、雇用統計やGDPに注目集まる
来週は5月1日の労働者の日による祝日で、3週連続の短縮取引となる。注目材料としては、連邦政府の財政収支、雇用統計(CagedおよびPNAD)、そして米国の第1四半期GDPおよび雇用統計(Payroll)が挙げられる。これらの経済指標が、投資家の今後の判断材料になると期待されている。
「アルゼンチンは“南米のシンガポール”になり得る」アダム・キャピタル創業者の見解
アダム・キャピタル創業者のマルシオ・アペル氏は、インフォマネーの番組「Outliers」に出演し、「アルゼンチンは経済政策を正しく導けば、シンガポールのような成功を収める可能性がある」と語った。
同氏は、「ブラジルは政治的に大型船(トランスアトランティック)のように方向転換が難しいが、アルゼンチンは小型艇(ランチ)であり、すでに方向転換を進めている」と指摘。「うまくいけば、ラテンアメリカの模範になるだろう」と期待感を示した。
アルゼンチン政府は2月にも財政黒字を記録し、これでハビエル・ミレイ大統領の政権下で14カ月中13カ月での黒字計上となった。2月の財政黒字は1,1770億ペソ(約11億ドル)で、GDPの0.5%に相当する。2023年には14年ぶりに通年での財政黒字も達成している。
ミレイ政権は歳出削減を進め、教育費や年金支給額の削減により抗議活動も発生しているが、政府は「財政健全化は経済再生の前提」と強調している。