【12日の市況】Ibovespaは前日比0.49%高の13万7,799.74ポイントで3営業日連続の上昇=ドルは対レアルで0.07%上昇して5.542レアルに

 ブラジル株式市場の代表的な株価指数であるIbovespa(イボベスパ)は12日、木曜日の取引を前日比0.49%高の13万7,799.74ポイントで終え、3営業日連続の上昇となった。上げ幅は671.70ポイントに達した。3日続伸は約2週間ぶりであるが、市場環境が明るいわけではない。国内政治の不透明感と国際情勢の不安定さが、引き続き投資家心理に影を落としている。

 

 政府は同日、金融取引税(IOF)の減収分を補うための措置として、所得税の課税対象を広げる暫定措置令(MP)を発表した。財務相フェルナンド・アダジ氏は、制度の歪みを是正するものであり、金融機関の公平な納税と一部の免税金融商品の課税を目的とすると説明した。政府は今回の措置により、2025年に100億レアル、2026年には200億レアルの歳入増を見込んでいる。

 しかし、提案内容に対し、金融業界や議会からは懐疑的な声も多い。イタウ・アセットのチーフエコノミストであるトーマス・ウー氏は「ブラジルは税負担が重すぎ、しかも支出の効率が悪い」と批判。フィンテック各社も、議論のないまま社会納付金(CSLL)が引き上げられる点に反発し、「競争やイノベーションを損ない、金融サービスへのアクセスを妨げる」との声明を発表した。

 XPインベストメントスの政治アナリストであるパウロ・ガマ氏は、「特に非課税資産の課税化に関しては議会で大きな抵抗がある」と指摘する。LCAコンサルタントによると、同MPは120日間の期限内(休会期間を除く)に議会で審議・可決される必要があり、政府は今後、同措置に加え、税制優遇措置の10%削減案などの交渉を進めていくとみられる。

 報道によれば、ルーラ大統領は同日、下院議長候補のウーゴ・モッタ氏に直接電話し、議会の支持を求めたとされる。だが、モッタ氏は「歳出削減ではなく、歳入確保を目的とした増税に対しては、議会の雰囲気は非常に否定的だ」と述べており、政府と立法府の関係は依然としてぎくしゃくしている。

 さらにモッタ氏は、議会内では財政均衡を強調しながらも、一方で議員報酬と年金の併給を認める提案を進めるなど、矛盾した姿勢を見せており、市場関係者の不信感も高まっている。

小売売上高が減少 内需の減速示唆

 経済指標も市場の期待を裏切った。4月の小売売上高は前月比で減少。クレジットに依存する消費活動が弱まったとみられる。XPは「基準月が高かったため慎重に解釈すべきだが、家計支出の減速傾向が続いている」との分析を示した。

米国ではインフレ鈍化も、トランプ氏がFRBに圧力

 一方、米国市場は小幅高で終了。卸売物価指数が予想を下回ったことで、利下げ再開への期待が高まった。ただし、トランプ前大統領とパウエルFRB議長との関係は険悪で、トランプ氏は「パウエルを解任はしないが、利下げには何らかの“強制”が必要だ」と発言した。

 ドルは対レアルで0.07%上昇し、1ドル=5.542レアルで取引を終えた。金利先物(DI)はまちまちの動きとなった。

個別銘柄:ペトロブラス3日続伸 エンブラエルや銀行株も堅調

 株式市場では、ペトロブラス(PETR4)が2.25%高と3日連続の上昇。原油価格が下落し、格付け会社による目標株価の引き下げもあったが、投資家の買い意欲は強かった。小規模石油会社は軟調で、ペトロレコンカボ(RECV3)は0.53%安。ANPによる施設の一時停止が影響した。

 銀行株も堅調で、ブラデスコ(BBDC4)が0.98%高、イタウ・ウニバンコ(ITUB4)が0.77%高。前日に急騰したサンタンデール(SANB11)は0.86%下落した。エンブラエル(EMBR3)は、来週開催のパリ航空ショーへの期待感から4.29%上昇した。

 一方、鉄鉱石価格の下落を受けて、ヴァーレ(VALE3)は0.66%安となった。中国と米国の協議に注目が集まっている。

 小売セクターはまちまち。マガジン・ルイザ(MGLU3)は0.84%高、ロハス・ヘンネル(LREN3)は0.16%安だった。

ゴル、株式併合で新ティッカーへ 1,874%高は“錯覚”

 航空会社ゴル(GOL)は11日、新たに「GOLL53」(普通株)および「GOLL54」(優先株)のティッカーで取引を開始。破綻処理後の資本増強により、従来の株式は1,000株単位に併合された。表面上はGOLL54が1,874%の上昇を記録したが、実際は1株あたり0.01レアルで再評価されたことによる見かけ上の動きである。

 B3(ブラジル取引所)は「1株単位での取引を可能にすると、価格が0.01レアルに張り付き、わずかな変動が過大評価される恐れがある」とし、誤解や投機的な取引を防ぐ措置と説明した。ゴルの株主構成は個人投資家が多数を占めており、昨年のロハス・アメリカーナスのような損失拡大を警戒する声も出ている。

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