《サンパウロ市》市内3地区で髄膜炎が流行=1~9月に56件の症例

髄膜炎を引き起こす細菌(Wikimedia)

 サンパウロ市保健局が9月28日、市内3地区で髄膜炎の流行が起きており、1月から9月27日までに死者9人を含め、56件の症例が報告されていると発表したと9月28~29日付G1サイトなどが報じた。髄膜炎はインフルエンザと混同される事があるが、症状やその後の経過はより深刻だ。
 髄膜炎が流行しているのはジャルジン・サンルイス、パリ、ヴィラ・フォルモーザ/アリカンドゥーヴァの3地区。ヴィラ・フォルモーザ/アリカンドゥーヴァ地区の場合は、7月16~9月15日に5人の患者が発生。患者の年齢は生後2カ月から61歳までで、42歳の女性が死亡している。
 流行状態であるとの判断は90日以内に3件以上の発生が報告されたか否かで行われ、濃厚接触者に対する化学予防(発症を防ぐための錠剤投与)や地域での予防接種強化などの予防と制御のための措置が講じられた。
 それでも、今年の発症数や死者数は2019年より少ない。19年は158件の症例が報告され、28人が亡くなった。2020年は72件で12人が死亡、2021年は37件で7人が死亡と、発症数、死者数共に減少した。
 市役所では、新型コロナのパンデミックで外出規制やマスク着用などの防疫措置が採られた事が良い結果を生んだと見ている。
 市保健局のルイス・カルロス・ザマルコ局長は予防接種の重要性を強調。ヴィラ・フォルモーザ/アリカンドゥーヴァ地区の保健所4カ所では、生後3カ月から64歳までの市民全員が接種を受ける事ができる。

流行地区での予防接種(Prefeitura/Divulgação)

 髄膜炎は脳を覆う膜の炎症で、頭痛や疲労感、倦怠感、高熱、首のこわばり、嘔吐、発疹などを引き起こす。また、死亡率が高く、難聴や運動障害、神経系の損傷などの後遺症が残り得る。子供は最も影響を受けやすく、少なくとも6カ月間は経過観察を継続する必要がある。
 髄膜炎は細菌、ウイルス、真菌、寄生虫によって引き起こされ、ウイルス性と細菌性の髄膜炎は流行を起こす可能性が高い。細菌性のものは秋から冬、ウイルス性のものは春から夏に多く、発症は男性の方が多いという。
 髄膜炎の感染は、患者の唾液や気道から排出される分泌物の飛沫が咳やくしゃみなどで飛び散り、健康な人の鼻や口の粘膜に接触する事で起こる。
 乳幼児の場合は触るとうめき声を出すとか甲高い泣き声で泣き、落ち着かない、不随意運動を伴う体のこわばりといった症状も見られると言い、感染が疑われる場合は年齢を問わず、早急に診察を受ける必要がある。
 髄膜炎は保健省が定めた予防接種カレンダーにも含まれているが、パンデミック以後は種々の予防接種の実施率が低下しており、一層の注意が必要だ。

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