第14回全伯俳句大会開催=席題総合1位が小斎棹子さん=「敗戦忌遠い記憶の鮮やかに」

挨拶する吉田実行委員長

 ブラジル日本文化福祉協会(文協)が主催する第14回全伯俳句大会(吉田しのぶ実行委員長)が20日に開催され、約40人が参加した。席題部門では小斎棹子さん(13点)が総合得点で1位、林とみ代さん(12点)が2位、浅海護也さん(10点)が3位だった。
 宮川信之さんが開会宣言を行い、物故者に1分間の黙祷が捧げられた。文協理事の林まどかさんは理事会代表として「裏千家の第15第家元、千宗室も100歳を迎えてなお第一線で活躍されている。皆さんも今日一日頑張ってよい作品を作って」と挨拶をした。
 吉田実行委員長は日本から参加の大学教授らに感謝を述べた後、「ブラジルの大地に根付いた移民俳句は佐藤念腹先生を祖とします。先人たちは大地に根付いた俳句を作りました。過去を辿っていけば、自分史となります。祖国の俳句に決して引けを取ることはありません。先人たちのたゆまぬ努力の賜物です。山を拓き、斧を振り、土地を耕し、血と汗と涙の結晶から戦前移民の素晴らしい秀句、佳作が生まれました。これこそがブラジルの俳句です」と力を込めて挨拶した。
 日本から参加の愛知県立大学の久冨木原玲学長は体調がすぐれず欠席、高岡法科大学の白石佳和准教授は昨年に続いて選者を務めた。愛知県立大学の末永エウニセ准教授も出席した。
 兼題の投句者数は73人、365句だった。
 参加2回目の住谷(すみや)ひさおさん(86歳、茨城県出身)は「普段は一人でコツコツと作句しているので、会場でワイワイと皆でやるのを楽しみにしてきた」と話し、太田映子さん(79歳、北海道出身)も「主人と俳句を一緒に始めようと話していたが、13年前に病気で亡くなってしまった。それから頭の整理をして、気持ちを落ち着けて8年前から俳句を始めました。それからずっと大会に参加しており、毎回とても楽しみです」と話し、大会を満喫した。
 当日の席題部門の主な結果は次の通り。
◆吉田しのぶ選《特選》
幾度も語りし一生敗戦忌(サンパウロ市 小斎棹子)
◆小斎棹子選《特選》
父母眠る大地がわが里サビア鳴く(サンパウロ市 山田かおる)
◆伊那宏選《特選》
花の雨老翁一人杖と立つ(モジ・ダス・クルーゼス 浅海護也)
◆白石佳和選《特選》
敗戦忌遠い記憶の鮮やかに(サンパウロ市 小斎棹子)
◆席題総合得点◆
1位小斎棹子(13点)
2位林とみ代(12点)
3位浅海護也(10点)
4位上田ゆずり(10点)
5位近藤佐代子(9点)
同位浅海喜世子(9点)
 席題部門の詳報や兼題部門は4面を参照。

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