《英国》ボルソナロが女王葬儀前に選挙演説=ロンドンで「一次投票で勝利する」と宣言=不謹慎な行為に非難殺到

ロンドンの支持者に演説を行うボルソナロ氏(Twitter)

 19日に行われたエリザベス女王の葬儀に参加するためにイギリスを訪問したボルソナロ大統領が18日、ロンドンのブラジル大使公邸前に集まった同国在住の支持者たちに対して大統領選の選挙演説を行った。公費で渡航して葬儀に参加しており、英国国民が女王逝去の喪に服している状況にも関わらず、平然と選挙活動を行ったことで物議を醸している。18~19日付現地紙、サイトが報じている。
 ボルソナロ大統領はミシェレ夫人らと共に18日午前中にロンドンに到着し、宿泊先であるブラジル大使公邸に向かった。
 大統領は自室に着くなりベランダに出ると、到着を待ち構え、サッカーのブラジル代表のユニフォームを着て国旗を掲げるなどの方法で愛国心を表した支持者らに向けて話し始めた。ボルソナロ氏は最初こそ、「自分が今、ここにいるのはエリザベス女王を弔うためだ」と語ったが、ブラジルでのキャンペーンさながらに盛り上がる支持者の姿を目の当たりにし、選挙演説を開始。その様子は同行者らが撮影した。
 大統領は「ブラジル国民の大半は中絶の合法化や薬物犯罪の容認、性の多様化などの議論を求めていない」とし、極右政治家としてのモットーを声高に叫んだ。また、投票日まで2週間の時点でルーラ氏に10%前後の差をつけられているにも関わらず、「大統領選では一次投票で勝利してみせる」と宣言した。
 通例なら国家元首が招待された場合に随行するのは外務大臣などの政権要人だが、ボルソナロ氏の周囲には三男エドゥアルド下議や選挙地盤のネオペンテコスタル派教会リーダーのシラス・マラファイア牧師などの姿があった。
 ボルソナロ氏の行為は国内外で直ちに報道された。ブラジルの現地紙やガーディアン紙その他の同国の新聞も、「ボルソナロ氏がエリザベス女王の葬儀を自身の大統領選のキャンペーンに利用した」と報じた。
 大統領の行為に対しては政界からも次々と批判の声が上がった。大統領候補のソラヤ・スロニッケ氏(ウニオン)は18日、選挙高裁に、今回のロンドン滞在に関する捜査とロンドンで行ったことを選挙利用させないことを求めて訴えた。ルーラ氏の労働者党(PT)も外交上の公式行事で選挙演説を行ったことを問題視し、選挙高裁に訴えている。
 ボルソナロ氏はこの後、ロンドン市内のガソリンスタンドの給油所でSNS用に録画を行った。大統領は料金表を指さし、「ここでは1リットルが1・61ポンド、約9・60レアルだ。ブラジルのガソリン代は世界では安い方だ」と支持者に訴えた。ブラジルでの現在のガソリンの平均価格は1リットルあたり4・97レアルだが、それはブラジルの最低給与の0・41%にあたる。英国でのガソリン代は、同国の最低給与の0・11%相当だ。
 大統領はその後に、ウェストミンスター寺院でのエリザベス女王の通夜にミシェレ夫人とシラス・マラファイア牧師と共に出席。棺の前で弔意を表した後、参列者名簿への署名を行った上、チャールズ国王にも会見した。
 大統領はこの旅行を極右指導者らとの親交の場にも利用。19日に国葬に参列した後は、ニューヨークでの国連総会に出席するため、米国に向かった。20日の総会では通例通り、開会スピーチを任されている。

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 19日は英国のエリザベス女王の葬儀が国際的な話題を独占したが、ブラジルではボルソナロ大統領が葬儀のために英国に着いた18日に選挙演説を行って波紋を呼び、ツイッター上では「ボルソナロ・ワールド・シェイム(ボルソナロは世界の恥)」と英語で書かれたハッシュタグが大量拡散された。
 中にはロンドンのボルソナロ氏支持者がテレビカメラに向けて中指を立てる姿もあり、「女王の葬儀の期間中になんてことを」との非難も沸き起こった。ボルソナロ氏や支持者はTPOを考え、「自分たちにとって心地良いこと」が周囲の人々にも心地良いのかについてもう少し配慮をするべきなのでは。

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