《ブラジル》ボルソナロが国連総会でも選挙演説=自説強調して自画自賛=英国での映像使用禁止に

20日の国連総会でのボルソナロ大統領(Reprodução/TV Brasil)

 【既報関連】エリザベス女王の国葬後に米国に飛んだボルソナロ大統領が20日朝、国連総会で演説を行い、自政権の功績を強調、労働者党(PT)政権を批判したと同日付ブラジル国内サイトが報じた。
 ブラジルは1955年以降、各国首脳の最初に演説を行っており、今回も、アントニオ・グテレス国連事務局長とチャバ・コロシ総会議長(ハンガリー元国連大使)の後に語った。
 ボルソナロ氏は予想通り、総会演説を選挙に利用した。演説内容はロンドンでの批判もあってトーンが落ちていたが、アウシリオ・ブラジル導入や燃料費抑制のための減免税、公社民営化などに触れ、「経済は順調に回復」と語った。
 ラヴァ・ジャット作戦で注目されたペトロブラスを巡る汚職などに触れた時は、「ブラジルで横行していた組織的な汚職を撲滅した」と強調した。
 ボルソナロ氏の国連演説は4回目で、20~21年は「法定アマゾンはブラジルの領土で他国の干渉は不要」と主張したり、ブラジルの新型コロナ対策批判は虚報だと抗議したりした。
 演説ではウクライナ危機などにも触れ、侵攻の即刻停止や対話の必要を強調したが、深入りはしていない。総会前後に会った首脳も右派の保守的指導者に限られていたようだ。
 他方、家族の価値や中絶問題、国防、性的イデオロギー否定などを改めて主張。女性政策にも取り組み、女性殺人や家庭内暴力が減少と語った。それに対し、ブラジルのメディアは現政権では女性殺人などが増加と反論した。
 講演ではPT政権が始めたサンフランシスコ川治水事業を自政権の業績として語るなど、経済や環境、汚職に関しても事実とは異なる数字を使い、虚偽の演説とメディアから批判されている。
 ブラジル外交団は持続可能性や少数部族、核兵器、教育、国連治安部隊の活動、ウクライナ危機、安保理改革などの会合にも参加するが、ボルソナロ氏は帰国して選挙活動を再開する。
 なお、ロンドンのブラジル大使公邸前での演説の映像は独立記念日のブラジリアとリオでの映像同様、選挙活動での使用禁止処分を受け、大統領や三男エドゥアルド下議の投稿などは即刻削除が命じられた。また、国連総会会場周辺では「ブラジルの恥」「世界の恥」などと書かれた大統領の顔写真入り映像の投射も行われた。

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