《ブラジル》大統領の独立記念日式典の私的流用に批判集中=ルーラ「KKK集会のようだ」=シロはボルソナロを告訴

8日のイベントでのルーラ氏(Twitter)

 【既報関連】ボルソナロ大統領(自由党・PL)が7日の独立200周年記念日に、連邦政府として公費を投じて盛大に実施した式典を自分の大統領選キャンペーンに流用したことは「選挙法違反」として大問題となり、他の大統領候補から強い批判が上がっている。
 ルーラ氏(労働者党・PT)はその様子を「クー・クラックス・クラン(KKK)の集会のようだった」と酷評した。その疑いが最初から予想されていたため、招待されていた最高裁長官、下院議長、上院議長の誰一人式典に出席しなかった。9日付現地紙などが報じている。
 ボルソナロ大統領の独立記念日の行動が選挙法違反にあたることは各メディアで様々な専門家が言及している。その中でも、連邦高等裁(STJ)と選挙高裁(TSE)の元判事だったジウソン・ジップ氏は「犯罪要素はかなりある。ボルソナロ氏はこの日、選挙で負けまいと、あらゆる公的なものを選挙に利用し、軍隊までも自分の味方であるかのように振る舞った」と厳しい評価を下している。当日の式典には陸海空軍が総出で参加した。
 それは大統領選の他の候補も同様の思いだった。シロ・ゴメス氏所属の民主労働党(PDT)はすでにTSEに対し、ボルソナロ氏と副候補ヴァルテル・ブラガ・ネット氏のシャッパの出馬無効と、8年間の出馬禁止を求めて訴えた。
 その訴状でPDTは「ボルソナロ氏は自分の選挙のために大統領としての権力、経済への影響力、社会的通信機関(国営テレビ局など)を利用した」として問題視し、「独立記念200周年という国全体で祝うべきものを、自身の私利私欲のために利用した」と手厳しかった。
 もっとも注目を浴びたのは、世論調査でボルソナロ氏をリードするルーラ氏の反応だ。ルーラ氏は8日、リオのフルミネンセ海岸部のノーヴァ・イグアスーで行ったイベントで、独立記念日でのボルソナロ氏の行動を見た感想を「あれはひどかった。KKKの集会を見ているかのようだった」と、米国の黒人差別を行う秘密結社にたとえた。
 「あそこにはネグロ(黒人)もパルド(褐色系)もいない、白人だらけで、貧乏人も労働者もいなかった」と、ルーラ氏は集会の参加者の構成を批判。さらにルーラ氏は、式典の間中、大統領の傍らにいた親友の極右系企業家ルシアノ・ハン氏のことを「ロウロ・ジョゼ」と、朝の名物テレビ番組で女性司会者の隣に出てくる鳥のマスコットにたとえてからかった。
 この発言に対し、ボルソナロ大統領はツイッターで、黒人の参加者もいた動画を見せて反論。「きっと多くの国民が緑と黄色の服を着て参加したからうらやましかったのだろう」と皮肉った。
 だが、同式典に関するルーラ氏側の批判は人種だけではなかった。同氏のジャンジャ夫人は8日のイベントで、ミシェレ夫人をお姫様扱いしたことを批判。「私たち女性は、ルタドーラ(戦士)だ」と壇上から女性たちに呼びかけた。
 女性大統領候補のシモーネ・テベテ氏も、「独立記念日のボルソナロ氏の行動は女性の価値を下げてあまりあるものだった」と強い拒否反応を示している。

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