《ブラジル》オミクロン株=国内初の死者も確認=驚くほど急速な感染拡大=入院者が23日で倍増?

サンパウロ市の感染者の推移(Secretaria Municipal de Saúde de SP)

 【既報関連】新型コロナの新変異株「オミクロン」感染者は6日間で倍増など、急速に感染が拡大しており、医療体制逼迫などを引き起こしている。同株はデルタ株ほど重症化しないといわれるが、ブラジルでも初の死者が出たと6、7日付現地紙、サイトが報じた。
 6日に確認された最初の死者も現場の緊張感を高めた。最初の死者はゴイアス州在住の68歳男性で、慢性的な呼吸器疾患と高血圧という基礎疾患も持っていた。
 男性が発症したのは12月20日で、2日後に入院。26日に集中治療室に移ったが、27日に亡くなった。男性のサンプルが解析に回されたのは28日で、6日にオミクロン株感染が判明した。
 予防接種進展に伴う感染者や死者の減少で安堵し、マスク着用義務解除なども起き始めた後に流入した新変異株は、人の集まりが増える機会に乗じ、感染者を増やしている。
 5日発表のオミクロン株感染者は11州で265人(株解析中は520人)で、12月30日発表の7州で128人(解析中298人)から倍増した。
 新規感染者中の同株の割合が5%、37%、58%と急増中のサンパウロ市の場合、デルタ株は最初の感染者確認から過半数超えまでに9週間かかったが、オミクロン株は3週間のみだ。

 同市保健局は6日、保健省サイトの機能停止で生じた情報の空白「データのアパガン」で現状把握が困難としつつ、軽症者は昨年4月にピークだった時の倍の速度で増えているとの見解を示した。
 軽症者は発熱、悪寒、のどの痛み、頭痛、咳、鼻水、味覚や嗅覚の麻痺といった項目中二つ以上の症状があるが入院に至らない場合で、重症急性呼吸器症候群はこれらの症状で入院が必要なケースだ。
 国内の新型コロナ感染症観測局員でサンパウロ総合大学研究員のパウロ・イナシオ・プラド氏は、「種々のデータから見て軽症者の増加速度は明らかに昨年のピーク時以上」との見解を述べている。
 オミクロン株感染者は無症状者が多く、予防接種完了者や既に感染した人も感染し得るから、感染防止が困難だ。サンパウロ州では入院者が23日間で倍増した。
 急速な感染者増加が原因の医療体制逼迫は世界中で起きている。医療従事者の感染で生じた人手不足解消のための緊急採用や隔離期間の短縮、ワクチン接種に軍人や歯科医を動員などの報告もある。インフルエンザが並行流行中のブラジルも状況は深刻だ。
 世界保健機関が頻繁に「オミクロン株は穏やかと考えてはならない」と警告する中で起きた感染者や入院者の増加、インフルエンザとの二重感染者確認などで、サンパウロ市は全てのイベントでの接種証明提示を義務化。リオ市も対策会議を開いた。

最新記事