《ブラジル》オミクロン株=ピーク時超える感染速度=補強接種遅れ入院者急増=数週間後には感染者減少?

サンパウロ州での入院者数急増を示すグラフ(17日付G1サイトの記事の一部)

 新型コロナのオミクロン株出現で感染者と入院者が急増しているが、国内最大のコロナ禍研究グループの責任者がリオ市では数週間後に感染者急減が起こり得るとの見解を表明したと15日付現地サイトが報じた。
 12日付現地サイトによると、オミクロン株は株解析を行った検体3212件中、3171件(98・7%)を占め、他の変異株を凌ぐ速度で拡大中だ。
 9~15日の全国の感染者は前週の2・3倍の47万6198人に急増し、昨年4月15日の46万6824人を超えている。
 専門家はオミクロン株感染者は軽症者や無症状者が多く、実際の数字は統計上の数字を大幅に上回ると見ている。また、補強接種の遅れもあり、非接種者や基礎疾患がある人を中心に入院者や観察中の人が急増。16日現在は感染者累計の3・1%の71万670人に増えた。死者の7日間平均も3日の96人/日以降増加に転じ、152人となった。
 国内最大のコロナ研究グループの責任者でペロタス連邦大学のペドロ・ハラル教授は5日、「数週間は感染者が激増し、2週間後には病床が満杯になる。3週間後には死者も増える」とし、予防接種を進めなければ死者も増加と予告していた。

 ブラジルでの予防接種は昨年1月17日に始まり、接種率が高いサンパウロ州では人口の79・8%が2度の接種か1度で良いワクチンの接種を完了。5~11歳児への接種も始まった。
 なお、リオ市での感染状況を見たアラル氏は15日、同市では数週間で感染者急減との見解を表明した。
 リオ市では11~13日に28万2千人が検査を受け、8万5千人の感染が判明(陽性率約30%)。感染者の7日間平均は2週間前の30倍の9千人で、入院者数は1週間で900%増加。30%台だったコロナ感染者用病床使用率は58%に上昇している。
 14日の感染者は1万6千人で新記録を更新し、死者も14人いた。アラル氏は統計から漏れている患者や死者が相当数いる事を認めつつ、南アフリカでは感染者が急増後に急減している事に触れ、補強接種などに力を入れれば2月末までに感染者急減が起こり得ると語った。マスク着用、3密回避、社会的な距離確保も不可欠だ。

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