《ブラジル》感染爆発の勢いが減速=実効再生産指数がやや低下=死者平均は600人台に戻るも

ピークの頃の新型コロナ感染症患者用病室(Rovena Rosa/Agencia Brasil)

 オミクロン株による新型コロナの感染急増は、流行状態の中で各感染者が何人に感染を広げているかを示す実効再生産指数(Rt)上昇でも実証されていたが、この指数がやや低下したと1日付現地サイトが報じた。
 ロンドンのインペリアルカレッジが算出するRtは、12月10日に起きた保健省サイトへのハッキングによるデータ混乱でしばらく途絶えていた。
 だが、1月18日は1・35、同25日は1・78と上昇後、1日は1・69に下がった。同カレッジでは、ブラジルの指数は最低1・63、最高1・96としている。
 Rtが1・69というのは、100人の感染者が169人に直接的に感染を広げている事を示す。Rtが1以上だと感染は拡大するが、1未満だと感染は下火になる。
 そういう意味では現在の1・69も決して良い状態とは言えない。だが、オミクロン株の大流行が起きた国では、従来株以上の速度で感染が急拡大した後、急速に減少する傾向があり、Rt低下が続けば、新規感染者も急速に減る可能性がある。

実効再生産指数が低下と報じる1日付オ・グローボ電子版の記事の一部

 現在はまだ今後の動き確定とまで言えないが、1月28日以降の感染者の7日間平均は18万3289人、18万6492人、18万6363人、18万5593人、18万6985人と、18万人台で止まっている。1月17日以降の7日間平均は1万人から2万人弱ずつ増えていたから、増加が減速し始めた可能性がある。
 また、サンパウロ市クリニカス病院が医療従事者や患者に対して行うPCR検査での陽性率は、1月18~24日が40%だった後は徐々に低下しており、1月30日は12%だったと報じられている。
 ただし、1日の死者929人は、昨年9月18日の935人以来の900人台復帰で、7日間平均の603人も、昨年9月6日の605人以来となる600人台となった。
 死者の増加は感染者の増加より数週間遅れるため、病床逼迫が起きている中ではなお、予断は許さない。
 なお、1月の月間感染者数は313万9223人で、昨年3月の219万7488人の1・43倍だったが、死者は8082人で、昨年10月の1万1075人さえ下回った。
 オミクロン株は肺をやられる例が少なく、致死率が低いといわれるが、その特性と予防接種効果で、重症者や死者が減っている事を裏付ける数字だ。

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