永遠の「イパネマの娘」=82歳にしてなお美しさ健在

82歳の誕生日を祝うエロイザ・ピニェイロさん(Foto: reprodução Instagram @helopinheiro1)
82歳の誕生日を祝うエロイザ・ピニェイロさん(Foto: reprodução Instagram @helopinheiro1)
1962年、「イパネマの娘」が作られた頃のエロイザさん(Foto: Instagram @helopinheiro1)
1962年、「イパネマの娘」が作られた頃のエロイザさん(Foto: Instagram @helopinheiro1)

 「Olha que coisa mais linda, mais cheia de graça(見よ、この上なく美しく、優雅な姿を)」──ボサノヴァの名曲『イパネマの娘』に歌われた女性、エロイザ・ピニェイロさんが7日、82歳を迎えた。9日付ソー・ノチシア・ボア(1)(2)などが報じた。
 1960年代、リオのイパネマ海辺を歩くエロイザさんの姿に心を奪われた詩人トム・ジョビンとヴィニシウス・デ・モラエスによって、不朽の名作が誕生した。それ以来〝イパネマの娘〟として世界中にその名を知られてきた彼女は、今もなお、その気品と存在感で人々を魅了し続けている。
 エロイザさんが名曲のモデルとなったのは、17歳のとき。近所のイパネマ海辺を歩く何気ない日常の一瞬が、トムとヴィニシウスにインスピレーションを与え、詩となり、旋律となり、世界を席巻する名曲へと昇華した。これを契機に一躍注目を集めた彼女は、本格的にモデルとしてのキャリアを開始。その美しさは国内外で評判を呼び、やがて女優や司会者としても活躍の場を広げていった。
 女優としては、1979年のテレビドラマ『カーラ・ア・カーラ(面と向かって)』、1980年の『アグア・ヴィヴァ(流れるままに)』などに出演。司会業に転向後は、1988〜2014年に、ワイドショー形式のバラエティ番組や、女性向けライフスタイル番組、トーク番組などを多数担当した。
 私生活では21歳でエンジニアのフェルナンド・メンデス・ピニェイロさんと結婚。4人の子どもをもうけた。娘の一人、チシアーニさんも司会者として活躍しており、その夫はTVグローボ報道キャスター、セーザル・トラーリ氏だ。末息子のフェルナンドさんは幼少期に細気管支炎を患い、脳への酸素供給不足による後遺症が残り、現在も特別なケアを必要としている。
 今年の誕生日は、家族が集う聖市内のレストランで祝われた。エロイザさん自身、華美な祝典よりも控えめな祝い方を好む性格であることから、最も大切にする人々に囲まれた親密なひとときを選択したという。チシアーニさんは「母は私にとってのインスピレーションであり、憧れであり、模範そのもの。こんなに特別で、美しく、心が広く、強く、そして勤勉な女性を私は他に知らない。誰もが、たった5分一緒に過ごせば、母の魅力に気づき、すぐに魅了されてしまうわ」とSNSに綴り、祝福の言葉を送った。
 名曲誕生から数十年を経た今も、エロイザさんの気品と魅力は色あせることなく、「美しさと真実味の象徴」として語り継がれている。彼女は時代の変化に合わせて自身を変化させながら芸能活動を続け、家庭を支え、周囲に惜しみない愛情をふりまいてきた。その生き方は、一曲のミューズにとどまらず、永遠の『イパネマの娘』として多くの人々の手本となっている。

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