
ブラジル日本都道府県人会連合会(県連)とブラジル仏教連合会(仏連)による「日本移民開拓先没者慰霊祭」が18日午前、サンパウロ市イビラプエラ公園の開拓先没者慰霊碑前で行われ、約90人が参列して先駆者の遺徳と功績を偲んだ。慰霊碑前には20以上の県人会から集められた過去帳が並べられた。
県連副会長の長屋充良氏が司会進行を務め、日伯友好130周年、日本移民117周年、終戦80周年などの節目を記念した行事であることを説明し、先人への感謝と日系社会の発展、世界平和を祈念するイベントであるとの趣旨を述べた。
法要は梶原マリオ仏連会長が導師を務めて執り行われ、参列者は静かに冥福を祈った。
挨拶に立った谷口ジョゼ県連会長は、志半ばで倒れた先人たちの姿に思いを馳せながら「先人の子や孫たちがその仕事を引き継ぎ、彼らは今日のブラジル社会に完全に溶け込んでいます。彼らの多くはブラジル社会で重要な役割を果たしております。先人に心からの感謝を捧げる。平安の中でゆっくりとお休みください」と語りかけ、270万人を超えるブラジル日系社会の礎を作った先人たちへ感謝の言葉を述べた。また現在、改修工事を進める慰霊碑への寄付協力に御礼を述べた。
在サンパウロ総領事館の清水享総領事は「ブラジルに永眠されました皆様に心から追悼の意を表します」と前置きし、その子孫が日本の伝統文化と価値観を次世代に引き継ぎ、ブラジル社会の発展に大きく貢献してきたことを讃えた。さらに5日から15日まで佳子内親王殿下がご来伯し、最初の訪問地としてこの開拓者先没者慰霊碑を訪れたことを振り返り、「日本の要人や皇族がサンパウロの最初の訪問地としてここに参拝なさることの意味は深くて、尊いものがある」と挨拶した。
法要後、梶原仏連会長は「戦後80周年は広島や長崎への原爆投下からのそれも意味します。先週から新しい戦争が始まり、今こそ平和のありがたさを噛み締める必要があります。と同時に、今日は現在の日系社会に寄せられるブラジル社会からの信頼を築き上げた先人達の誇り高い生き方にひたすらに感謝したいと思っています」と語った。