《記者コラム》レアルでも感じる円安

レアル紙幣(Marcelo Casal/Agencia Brasil)

 4月28日、自宅近くのレストランで、しばらく使ってなかった日本のクレジットカードを使って会計を行った。表示された金額が390レアルだったので「ああ、1万円は切るな」と思いながら日本円での会計ボタンを押したら「1万2千円」と表示され、「えっ?」と思った。

 このカードを使ったのは約1年ぶりで、当時は「1レ=25円」の感覚で計算していた。一時期よりは高くなっていたが、それでもコラム子の中では「1レは20円台前半」のイメージだった。それが、気がついたら30円台になっていたわけだ。
 翌日、日本のSNS上で「ついに1ドルが160円台に突入した」と大騒ぎになっていることを知り、「ああ、通りで」と先日の値段の理由に合点がいった。
 160円台を記録したのは34年ぶりのことだという。「高校の時に200円くらいしてなかったっけ?」と思ったが、それは1987年のブラック・マンデー前の話で37年前のことだった。なんだか浦島太郎になったような感じがする。
 コラム子が2010年にサンパウロ市に移り住んできた時には1ドルは100円を切っていた。今から考えたら、かなりの円高ドル安だと気づかされる。
 2010年当時はレアルがやたら高かったことも思い出した。あの当時、1レアルは40円ほど。日本で貯めた貯金を入れたクレジットカードを使うと残高の減りが早かったことを思い出す。あの頃はまだルーラ政権がジウマ政権に代わったくらいの頃で、伯国の国際的な景気も良い頃だった。
 それが、ラヴァ・ジャット作戦の始まった2014年くらいから急速にレアルが落ちだし、気付けばレアルは30円を切っていた。ボルソナロ政権の頃になると1レは20円近くまで落ち込み、20円を切った時もあった。その間、パンデミックであまり金を使うようなことがなかったのは確かだが、日本での貯金をうまいくらいに使って重宝していたことは確かだ。
 2022年の終わりくらいに「前ほどは安くないな」と感じて日本のカードの使用を控えるようになったが、短期間でかなり上がってきているように感じられる。ブラジル経済としてはレアル安も困るのだが、円安にもなんとかなってもらいたいものだ。(陽)

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