《ブラジル》ボルソナロがマスクとの面会に興奮=「表現の自由の象徴」と称賛=アマゾンのネット環境改善へ

20日のマスク氏(中央)とボルソナロ大統領(Jair Bolsonaro/Facebook)

 20日、米国の世界一の大富豪イーロン・マスク氏がサンパウロ州でのイベントでボルソナロ大統領や企業家らと会った。ボルソナロ氏はSNSサービス「ツイッター」の次期経営者と目されるマスク氏を「表現の自由の象徴」と褒めそやし、メダルまで授与した。マスク氏はこのイベントで、同氏のネット系企業が連邦政府と協力して遠隔地の学校の通信状況改善に努めることも約束した。だが、この会合に対しては、国際的にも否定的な見方が少なくなかった。20~22日付現地紙、サイトが報じている。
 マスク氏のブラジル訪問はサンパウロ州ポルト・フェリスの高級ホテルで開催されたイベントに参加するためで、主な目的は同氏の宇宙関連企業「スペースX」の衛星ビジネス部門スターリンクの伯国での事業展開開始を発表することだった。
 マスク氏はスピーチで、スペースXの衛星網「スターリンク」を使い、法定アマゾンの監視活動や農村部などの遠隔地にある1万9千ほどの学校に対するネットの高速接続実現を連邦政府と共に目指すと発表した。
 この計画に関する予算や期間、具体的な事業内容などに関しては何も語られていない。だが、同通信網を使ったブラジルでの事業への許可は1月に国家電気通信庁(Anatel)から出ており、3月にはサービス料金を月530レアルとすることも発表されている。
 イベントには大統領やファビオ・ファリア通信相、シロ・ノゲイラ官房長官、ルイス・エドゥアルド・ラモス大統領府総務室長官などが参加した。
 大統領はマスク氏と直接会い、マスク氏が4月に発表したツイッター社買収を「表現の自由の象徴的な瞬間」と絶賛した。大統領がこのような行動に出たのは、マスク氏が米国のトランプ元大統領の支持者であり、人権侵害に抵触しかねないことまでを含めて「表現の自由」とする持論の持ち主であるためだ。
 マスク氏は既に、昨年1月の米国連邦議事堂襲撃事件以来、凍結されているトランプ氏のアカウントを復活させたいとの意向を語っている。新型コロナでの虚報流布や民主主義攻撃などでツイッターに何度も発言を削除されている大統領も、これを機に自己アピールしたいところだった。
 また、マスク氏にはこの席で連邦政府からメダルも授与された。ファリア通信相はその理由を、「アマゾンに貢献したため」としている。法定アマゾンに関しても、ボルソナロ氏は「マスク氏を通じて世界中にアマゾンの本当の姿を知らせることができる」とし、アマゾンの森林伐採問題で国際的に批判されていることを見返したい口ぶりだった。
 だが、マスク氏のブラジル訪問の主要対象は企業家であったこともあり、同氏の口から表現の自由やアマゾンに関する具体的な発言が出ることはなかった。
 だが、マスク氏はボルソナロ氏との面会後に国際的メディアから批判された。ロイターはボルソナロ政権下での森林伐採の急増を指摘。デジタル通信情報メディア大手ギズモードは「マスク氏はブラジルの独裁者に会った」と報じた。 マスク氏の経営する電気自動車大手テスラの株価は同日、8%下落した。

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