サンパウロ市大渇水の悪夢も終わりか

カンタレイラ水系(Rovena Rosa/Agencia Brasil)

 21日、大サンパウロ市圏最大の水の供給地であるカンタレイラ水系の水位が80%台に乗った。これは2011年以来、12年ぶりのこと。2014年の今頃、カンタレイラの水位は20%を切っていた。幼少時に水不足でトラウマ体験を持つコラム子にとってこの報せは非常に感慨深いものだ。
 通常、サンパウロ市の夏期には毎月150〜300ミリの雨が降る。しかし、2013〜14年の夏はどの月も降水量が100ミリに達せず、この時期は14年3月になんとか100ミリ台の雨が降っただけだった。
 そして4月には水位が15%まで落ち「断水もやむなしか?」という事態にまでなった。時のジェラルド・アルキミンサンパウロ州知事は、同水系貯水池の底水を使用することで難局をしのいだ。それでも水不足は収まらず、一時期は実質水位がマイナス20%を下回った。
 当時は「これから一体どうなってしまうのか」とヒヤヒヤしたが、幸いにして、2014、15年の雨季に雨が戻ってきたことで水位は回復。15年のクリスマス過ぎにようやく「水位0%」に戻り、以降問題はなくなった。それでも結果的に水位にして約29・2%もの底水を使う深刻な危機だった。
 コラム子は1978年、小学3年生の時、郷里の福岡県で今現在も語られる記録的な渇水を体験した。このとき街は子供心に「ここは砂漠か?」と思うほど暑く乾燥し、毎年恒例の夏の楽しみだった学校のプールも中止。夜になれば朝までの長時間断水が行われた。この生活が翌年の3月まで続いた。
 あの体験があったからこそ、「水不足」と聞くと落ち着かない自分がいる。結局、サンパウロ市では断水は実施されなかったものの、サンパウロ市の大渇水期間も、「今後どうなるんだろう」と不安で仕方がなかった。
 それから、毎年夏はサンパウロ水道公社(Sabesp)が発表する毎日の水位発表が気になって仕方なくなった。10月から3月の半年間はいかに月間降水量が100ミリを超えるか。それがとにかく気になった。
 アルキミン元知事は2014年に「この夏は3000年に一度あるかないかの異常気象だった」と主張した。「なぜ、そんなことがわかるんだ」と思って確かめたい気持ちもあったが、今のところ、少なくとも「10年に一度の異常気象」だったことは確かだと思っている。
 今年はあまりに雨が降ったので水位をあまり気にしなくなっていたが、これがこのまま続いてほしい。(陽)

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