《ブラジル》世論調査でルーラの一次選勝利の可能性が復活=PTは「死票回避」を呼びかけ=カギを握るシロらへの浮動票

22日のルーラ氏(Ricardo Stuckert)

 22日、一次投票の10日前にあたる時点での大統領選の世論調査がダッタフォーリャから発表され、ルーラ元大統領(労働者党・PT)が有効得票でみると一次投票で勝利する可能性が復活した。ボルソナロ大統領(自由党・PL)は今回も横ばいで、ルーラ氏との差が開いている。22、23日付現地紙、サイトが報じている。
 20〜22日に全国343市、6754人を対象に行ったダッタフォーリャの最新世論調査で、ルーラ氏が45%から47%に支持率を上げた。対してボルソナロ氏は、先週と同じ33%だった。
 3位はシロ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)で、8%から7%に下がった。4位のシモーネ・テベテ氏(民主運動・MDB)は5%のまま。5位のソライア・スロニッケ氏(ウニオン)は前回の2%を1%に下げた。
 これにより、ルーラ氏は有効得票で50・5%となり、一次投票で勝利する可能性が復活した。ルーラ氏は8月末までは一次投票で勝つとの予想が出ていたが、9月に入ってシロ氏、テベテ氏の支持率が伸びたため、有効得票で50%を切っていた。また、決選投票のシミュレーションは先週と変わらず、ルーラ氏が54%対38%でボルソナロ氏をリードしている。
 今週発表された世論調査ではIpecが47%対31%、FSBでも44%対35%でルーラ氏が優勢との結果となっている。こうしたことから、PTは一次投票で決着をつけるため、「ヴォット・ユーティル(死票にならない票)」を求め、ネット上でキャンペーンを行っている。
 それは主に、票を投じる候補者を決めていない人やシロ氏、テベテ氏、ソライア氏の支持者に向けたもので、票を投じたところで勝算のほとんどないこれらの候補に投票するよりも、自身の投じた票で当選者が出ることを勧めている。これは拒絶率で50%を超えるボルソナロ氏の弱点を突いた戦法でもある。
 これに対し、シロ氏やテベテ氏は反発。シロ氏は「PTのやり方は民主主義を無視したファシズムだ」と語って物議を醸している。ルーラ氏と同じ左派のシロ氏はこの影響を特に受けやすい状況にあり、調査団体「ポデールダッタ」の調査によると、シロ氏の支持者には「票を変えうる」と答えた人が40%おり、テベテ氏の支持者にも26%いるという。これがボルソナロ氏だと3%、ルーラ氏だと7%と低く、選挙の行方はシロ、テベテ両氏の抱える浮動票次第となっている。
 シロ氏の場合はPDT内部に既にルーラ氏への投票を示唆している人が出始めている。また、保守派のウニオンでも、元中銀総裁のエンリケ・メイレレス氏がルーラ氏支持を表明したため、財界でなびく人の出てくる可能性が生じている。
 この後の票の行方が変わりうる要素の一つはテレビでの大統領候補者討論会で、SBT局が24日、グローボ局は29日に生放送するが、ルーラ氏はSBTへの欠席を表明している。ボルソナロ氏の参加も不明だ。

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