《ブラジル》世論調査でルーラ優勢のまま投票へ=一次当選実現の可能性も

9月27日のルーラ氏(Ricardo Stuckert)

 9月29日、一次投票前最後の大統領選の世論調査の結果が発表され、ルーラ氏(労働者党・PT)が有効票で50%に達し、一次当選の可能性が高い。だが、それには複数の課題があると、9月29、30日付現地紙、サイトが報じている。
 9月27〜29日に全国332市6800人を対象に行ったダッタフォーリャの世論調査の有効票で、ルーラ氏は先週と同じ50%を獲得。投票当日も同様の状況なら、一次投票で当選し得る。
 ボルソナロ氏(自由党・PL)は先週より微増したが36%。3位のシロ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)は前回の7%から6%に支持率が低下。4位のシモーネ・テベテ氏(民主運動・MDB)、5位のソライア・スロニッケ氏(ウニオン)は先週と同じ5%と1%だった。
 ただ、今回はルーラ氏が一次当選を決めるのは厳しいと見るデータもある。PTは投じた票が当選につながらず死票となることを回避する「ヴォット・ウーティル」を世間に主張しているが、シロ氏の支持者の54%、テベテ氏の支持者の62%が、「票を変えることはない」と答えている。先週は各々、42%と51%だった。
 投票日の状況が左右する可能性もある。ルーラ氏の支持者は貧困者が多く、当日の交通機関の状況や天候などが障害となり、投票に行かないことがあり得るためだ。ルーラ陣営がキャンペーンで投票に行くことを呼びかけている背景にはそれもある。
 対するボルソナロ氏は、2018年の大統領選でも「世論調査では弱い」と言われてきた。だが、18年の場合、一次投票に関しては8月以降、終始1位で、弱いとされていた決選投票のシミュレーションでも、投票まで1週間切った時点で急激な伸びを見せ、「どの候補にも勝つ」という予測に変わった。今年の世論調査ではそれはなく、ダッタフォーリャの直前での決選投票シミュレーションでも39%対54%と苦戦している。

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