戦国時代の鎧兜を間近で鑑賞=サンパウロ市で特別展、11月4日まで

展示された鎧とオーナーのリカルド・フォン・ブルスキーさんとその息子さん(左から)
展示された鎧とオーナーのリカルド・フォン・ブルスキーさんとその息子さん(左から)

 サンパウロ市ジャルジン・パウリスタ区の美術展示施設「Ricardo Von Brusky」が9月22日、日本の鎧兜や日本刀、陶器などと現代日本人芸術家の作品を展示する特別展「JAPÃO: DO ANTIGO AO CONTEMPORÂNEO」の公開を開始した。同展は11月4日まで行われる。入場無料。
 入口に飾られた7組の鎧兜は、安土桃山時代と江戸時代に制作されたもの。オークションにも出されたことがあり、価格はどれも数十万レアルだったという。ガラス張りの囲いもなく、至近距離で鑑賞できるようになっている。
 同施設オーナーのリカルド・フォン・ブルスキーさんは「仕事で欧米に滞在していた時、日本文化に興味を持ちました。今回の鎧のコレクションは30年かけて世界で買い集めたものです」と自信をのぞかせる。
 リカルドさんは日本に行ったことはなく、購入したのは、イタリア、スペイン、アルゼンチン、メキシコ、ブラジルでだ。かつて日本から外国に持ち出された鎧が、欧米を巡りブラジルに辿り着いた形だ。
 保存状態はどれも良く、アルゼンチンで購入した一組の鎧は購入当時劣化がひどかったため、編みなおして修繕した。通常、鎧の美しさを維持するために120年に一度は修復作業が必要だという。
 鎧と共に飾られた江戸時代の屏風絵は、平安時代の平将門にまつわる頭のない武士の伝説が描かれている。
 展示されている10本の日本刀は、模造刀ではなく真剣。明治時代に作られた日本刀のひとつはサヤが象牙製で、細工には中国や欧米の美術観の影響がみられる。
 江戸から明治時代に作られた陶器や、象牙で作られた人形、金箔細工の施された漆塗りのお膳やお茶碗などの小物も展示されている。骨とう品以外にも、ブラジルで活躍した著名な日系人芸術家の作品も展示されている。
 来場した日本人女性は、「数百年の時を経た日本の歴史的美術品に、サンパウロで出会うという巡り合わせに不思議さを感じます」と感想を述べた。
 施設情報は次の通り。住所=Rua Estados Unidos, 336、開館時間=平日午前10時から午後7時まで、電話11・97285・5436。

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