《ブラジル》教育費が210億レ減少か=ICMS上限設定の余波で=コロナ禍による教育遅延対策が不可能に

ICMS一律化で教育費が210億レ減少と報じるオ・グローボサイトの記事の一部

 【既報関連】燃料価格や電気代値上げによるインフレ抑制のための商品流通サービス税(ICMS)一律化法案が下院を通過後、教育費が210億レアル減少する可能性が出てきたと2~3日付現地紙、サイトが報じた。
 燃料価格などの高騰とそれに伴うインフレ抑制のためにICSMを17%に制限する法案は、再選のためにインフレ高進を避けたいボルソナロ大統領にとり、是が非でも通したいものの一つだ。
 だが、下院での同法案承認は、地方自治体の税収が5%以上減った時は国庫への返済分と相殺する形で補填するという、連邦政府の意向に反する項目加筆で実現した。
 大統領は下院での承認直後に、補填に関する項目に拒否権行使との意向を表明。上院では同項目削除の動きが出ている上、地方自治体の反発が強く、同法案の行方は不透明だ。
 また、ICMS一律化により、教育関連支出が210億レ減り、教師の給与調整などを困難にする可能性がある事が判明し、懸念が拡大している。
 この金額は全国教育局長審議会(Consed)、全国連邦自治体財務・金融・歳入・財務局長委員会(Comsefez)、全国市教育者代表連合(Undime)の試算で明らかになった。非政府団体の「全ての人への教育運動」も、教育費は192億レ減少すると見ている。
 ICMSによる税収の一部は基礎教育開発基金(Fundeb)に組み込まれ、基礎教育課程の教師への支払いや学校・幼稚園などの建築・改修などにも用いられている。
 現行法での教師給与調整率は33・24%だが法律通り調整できない自治体も多い上、Fundebの資金が減れば、給与調整や教育施設改修などがより困難になりかねない。
 教育省は1月に労働社会保障省の10億レに次ぐ7億3990万レの予算凍結を受けており、5月にも国立の大学や研究所への予算の14・5%(32億レ)が凍結された。高等教育機関は下半期の運営や学生支援継続を懸念しているが、基礎教育の資金減少まで起きれば、国際会議で公表したコロナ禍で生じた学習遅延を埋めるための対策実施を危うくし、ブラジルへの信頼低下や教育の質の低下による貧困化も招きかねない。

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