《南米》謎の肝炎がアルゼンチンでも=ブラジルでは七つの症例を観察中=WHO「コロナワクチンと関係なし」

新型コロナのワクチン接種の様子(Myke Sena/MS)

 世界中の子供たちの間で急増している急性の「謎の肝炎」。アルゼンチン保健省は5日、8歳の患者に重度の肝炎の症例が出たことを確認した。これはラテンアメリカで最初の症例確認となる。少年は、ブエノスアイレスから約300キロ離れたロザリオの小児病院で治療中だ。5日付ブラジル国内紙やサイトが報じている。
 ブラジルではまだ症例は報告されていない。だが保健省は、原因不明の肝炎の可能性のある国内の子供の発症例7件を監視中だ。同省によると、リオ州4人、パラナ州3人の患者に「謎の肝炎」の可能性があるため、調査を進めている。いずれの症例も、より多くの検査結果に基づいて、最終的にどの病気であるかが判断される。
 「謎の肝炎」の多くは、下痢や吐き気といった胃腸炎を起こした後、皮膚や目が黄色くなる黄疸が出るというもの。これは肝臓の炎症に起因する。
 世界保健機関(WHO)によると、これらの症状の出た子供の約10%が肝移植を必要としており、少なくとも1人が死亡した。世界中の16歳未満の子供に症例が見られ、最初の死者は英国で確認された。
 症例は4月上旬に報告され始めた。WHOによると、4月27日までに世界中で228件の症例を記録。死者数は不明だが、英国のほかに、インドネシアでも3人が死亡と発表されている。
 WHOによれば、患者からはA型、B型、C型、D型、E型の肝炎を引き起こすウイルスが見つかっておらず、アデノウイルス感染との関連性が疑われている。
 だがWHOは、「この病気は新型コロナウイルスワクチンの接種とは関連がない」と報告。因果関係が疑われているのは、アストラゼネカ社のワクチンが、新型コロナの遺伝子をサルアデノウイルス(風邪のウイルスであるアデノウイルスに増殖できない処理をしたもの)に組み込んだワクチンだからだ。データによると、症例の出た子供たちの大半はワクチン接種を受けていなかった。
 専門家によると、アデノウイルスに感染しても多くの子供は重症化しない。子供たちが新型コロナウイルスの感染防止で隔離生活を行ったため、アデノウイルスにさらされる時期が遅くなり、免疫システムを弱めた可能性が指摘されている。

★2022年5月4日《ブラジル》サンパウロ市で子供のSARS入院が急増=小児用病床の8割超埋まる
★2022年4月19日《ブラジル》保健相がコロナ禍緊急事態宣言の解除を発表=パンデミック終焉は意味せず=疑問残るワクチンや薬の使用許可
★2022年4月15日《ブラジル》子供の予防接種実施率が低下=麻疹などに再流行の危険性=懸念される虚報拡散の影響
★2022年4月6日《ブラジル》インフルエンザの死者激増=収まるコロナの影で記録的増加=2カ月間で1719人死亡

最新記事