《ブラジル》保健相がコロナ禍緊急事態宣言の解除を発表=パンデミック終焉は意味せず=疑問残るワクチンや薬の使用許可

ケイロガ保健相(Valter Campanato/Agencia Brasil)

 ケイロガ保健相が17日、「国家重大公衆衛生緊急事態宣言(Emergência de Saúde Pública de Importância Nacional、EPIN)」の解除を発表した。これは新型コロナのパンデミックが騒がれ始めた2020年2日に発表した。EPIN解除に関する詳細は未定だが、州や市の保健局長による全国審議会は、少なくとも90日間の移行期間を設けるよう要請していると17、18日付現地紙、サイトが報じた。
 EPINの解除は、再選を目指すボルソナロ大統領が求め続けていた事で、今月に入ってからも繰り返し、口にしていた。また、ケイロガ氏も「公衆衛生上の危機を終わらせた保健相」と認められる事を願っていたとされている。
 ケイロガ氏は18日も再度、15日間の死者が急速に減少している事、2度(ヤンセン社製ワクチンなら1度)の接種を終えた接種完了者が人口の70%を超え、39%にあたる7700万人が補強接種を受けた事、統一医療保健システム(SUS)がコロナ禍のピーク時には対応できていなかった疾病にも対応できるようになった事を理由に挙げ、RPINは解除可能との見解を示した。
 4月1~15日の死者2150人は3月1~15日の6252人より65・6%少なく、突発的な事がない限り、月間の死者も3月の1万424人の3分の1かそれ以下で終わりそうだ。3月の死者は2月比で53%減だったから、死者減少は加速している。
 同氏はまた、ブラジルの疫学的及びゲノム監視能力もEPIN解除のための衛生学的根拠となると強調。その一方で、EPINの解除は新型コロナの感染終焉を意味しない事や新型コロナウイルスとは今後も共存していく必要がある事も明言し、防疫対策として導入された公衆衛生策は中断されない事も強調した。
ケイロガ氏は地域や季節限定の感染を意味する「エンデミック」への移行宣言を諦めた時同様、パンデミック終焉宣言は世界保健機関(WHO)の役割である事を認めている。
 だが、WHOが13日に新型コロナ感染症は緊急事態の域を脱していないとの見解を表明している事を知りつつ、ブラジルの感染状況は緊急事態の域を脱したと言えるとの考えを示している。
 EPINは、種々の防疫対策の導入やワクチンや医薬品の緊急使用の承認、歳出上限の原則を超えた支出や入札を行わずに必要な資材の購入なども可能とする。また、コロナ禍に伴う緊急支援金支給や遠隔勤務に関する省令発行などもEPINに基づいていた。
 新型コロナへの対応のための省令中、EPIN解除によって影響を受けるものは保健省だけでも172に上る。同氏はまだ、EPINの解除とそれに伴って行われる種々の省令の修正、変更に関する詳細発表の時期は明らかにしていない。 
 州や市の保健局長達は緊急使用許可しか受けていない医薬品の継続使用の可能性への懸念を表明し、90日間、項目によってはより長期の移行期間を設ける事を要請している。
 特に懸念されているのは子供向けの予防接種にも使用されているコロナバックだ。ファイザー社製の子供用ワクチンは抗体が減少、消滅するのが早いと言われている上、コロナバックに関しては3~5歳向けの使用許可申請に対し、国家衛生監督庁(Anvisa)がより詳細なデータ提出を求めたばかりだ。

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