15日のブラジル株式市場は続伸し、代表的株価指数であるボベスパ指数が前日比0.66%高の13万9,334.38ポイントで取引を終え、史上初めて13万9,000ポイント台を突破した。終値ベースでの過去最高を更新したかたちだ。鉄鉱石先物価格の上昇を背景にヴァーレ(VALE3)が買われたほか、食品大手BRF(BRFS3)も決算発表を控えて上昇し、指数全体を押し上げた。
一方、外国為替市場ではドルが対レアルで0.83%上昇し、1ドル=5.679レアルと値を戻した。ただし、年初来でみればブラジル通貨レアルは、主要通貨の中でも対ドルでの上昇幅が大きい通貨の一つとなっている。債券市場では将来の政策金利を示すDI(金利先物)が全ゾーンで低下した。
午前中には政府の財政政策を巡る不透明感から相場が一時軟化したが、フェルナンド・アダジ財務相が「財政目標を達成するための措置は限定的かつ的を絞ったものにとどまる」と述べたことで懸念が後退。買い戻しの動きが強まり、終盤にかけては再び上値を試す展開となった。
市場関係者の一部からは「短期・中期・長期のいずれのトレンドでも上昇基調が続いている」との声も聞かれる。証券会社ジェニアル・インベスティメントはテクニカル分析において、「13万6,150ポイントの節目を上抜けたことで、フィボナッチ比率に基づく次の目標値は14万4,345ポイントおよび14万9,410ポイントに引き上げられた」と指摘する。
個別銘柄では、ヴァーレ(VALE3)が鉄鉱石先物高を受けて1.00%上昇。中国・大連商品取引所における主力鉄鉱石先物(DCIOcv1)は1.17%高の1トン=736.5元(約102.13ドル)で取引を終えた。BRF(BRFS3)は決算発表を前に4.78%上昇、親会社の食肉大手マーフリグ(MRFG3)も4.34%高と大幅高となった。
一方、電力大手エレトロブラス(ELET3)は、前年同期の3億3,100万レアルの黒字から今年1〜3月期には3億5,400万レアルの赤字へと転落。送電収入の減少や再販用電力のコスト増が響いた。これを受けて株価は3.22%安と大きく売られた。
金融関連では、今晩決算発表を控える国営銀行バンコ・ド・ブラジル(BBAS3)が1.21%下落した一方、民間大手のイタウ・ウニバンコ(ITUB4)は1.34%高、ブラデスコ(BBDC4)も0.99%高となるなど、民間勢は堅調だった。
小売セクターでは、ロハス・ヘネール(LREN3)が3.51%上昇。UBS BBが同社株に対して「買い」を継続し、2025年および2026年の利益見通しと目標株価を14.50レアルから21レアルへと引き上げたことが材料視された。マガジン・ルイザ(MGLU3)も3.74%高と買われた。
エネルギー関連ではペトロブラス(PETR4)が0.13%の小幅安。国際原油価格が軟調に推移したほか、石油労働者組合(FUP)が今月29日・30日の警告スト実施を発表したことも重しとなった。ブレント原油先物は2.36%下落し、1バレル=64.53ドルとなった。
このほか、ボベスパ指数構成外では教育事業のセル・エデュカショナル(SEER3)が1〜3月期決算を好感し19.89%高と急騰。航空大手ゴル(GOLL4)は朝方に一時11%高まで買われたが、終値は2.15%高。小売のカサス・バイーア(BHIA3)は資金繰りと利益の圧迫を示す内容で5.51%安。IT機器のポジティーボ(POSI3)は12.33%安と大幅下落した。
米国市場では、FRBのパウエル議長が「インフレと雇用に対する戦略を再評価する必要がある」と発言。サプライショックが今後より頻繁かつ持続的になる可能性に言及したことで、市場は一時的に反応を見せた。S&P500種株価指数は0.41%高、ダウ平均は0.65%高となったが、ハイテク株中心のナスダックは0.18%下落し、まちまちの展開となった。
加えて、米小売大手ウォルマートが「関税の影響による価格上昇が今月から本格化する可能性がある」と述べたことで、米中通商摩擦の再燃懸念も浮上した。
こうした中、著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイは、米証券取引委員会(SEC)への報告で、シティグループおよびデジタル銀行Nubank(Nu Holdings)の全株式を売却したことを明らかにした。また、バンク・オブ・アメリカ株の保有も4,860万株減らした。一方、ビールやワインなどの飲料メーカー、コンステレーション・ブランズへの出資は倍増させた。
さらにバークシャーは「非公開の新規持ち株」をSECに申請し、報告書から一部投資先の名称を伏せている。これは過去にも、保有株の株価を押し上げないよう秘密裏に買い増しを行う際に用いられており、今回も同様の戦略とみられる。推定規模は10億〜20億ドルとされる。
バークシャーのアップル株保有は変更されておらず、引き続き同社の保有株の中で最大規模となっている。現在の評価額は約630億ドルに達している。
一方で、中東を訪問中のドナルド・トランプ前大統領は、現地で米国への投資を募っているとされる。米国に戻って発言すれば、再び関税や通商政策を巡る波乱が市場を揺るがす可能性もある。市場では「何が起きてもおかしくない」と警戒感もくすぶっている。