【15日の市況】ボベスパ指数は前日比0.16%安の12万9,245.39ポイント=ドルは0.67%上昇して5.891レアルに

 14日のブラジル株式市場は、米中間の貿易摩擦を巡る警戒感が続く中、方向感に欠ける展開となった。主要株価指数であるボベスパ指数は前日比0.16%安の12万9,245.39ポイントで取引を終えた。前日比で208ポイントの下落となったが、日中は上昇と下落を繰り返し、終始落ち着かない動きだった。

 通貨市場では、商業ドル相場が対レアルで0.67%上昇し、1ドル=5.891レアルで引けた。1日の高値では5.904レアルを付けた。将来の金利動向を示すDI(ブラジルの金利先物)も全体的に上昇し、金利上昇への思惑が広がった。

米中対立激化、ボーイングに余波──中国が航空機の購入中止を指示

 中国政府は米国製航空機メーカー、ボーイングの購入停止を航空会社に指示した。米トランプ前政権が導入した新たな関税措置に対抗する形で、米中貿易戦争が再び激しさを増している。
 中国外務省は「拳を握るより、握手を」との表現を使い、貿易パートナーの多様化を進めると表明。米国の強硬な姿勢に対する対抗策として、外交と経済の両面で影響力を拡大する姿勢を明確にした。ホワイトハウスはトランプ氏が中国との合意に前向きだとしつつも、「対応は中国側次第」として責任を押し付けた形だ。
 一方、米金融最大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは、「貿易摩擦は米国の経済的信頼を損なう恐れがある」と懸念を示した。

米国株は小幅安、好決算でも慎重ムード

 14日の米株式市場は、主要3指数ともに小幅に下落。自動車関税の緩和により欧州市場は上昇したが、米市場では不確実性が重くのしかかり、上値を追う動きは限定的だった。
 米銀大手シティグループは前年同期比で22%の増益を発表し、バンク・オブ・アメリカも10.4%の増益を示したが、投資家心理を強く押し上げるには至らなかった。
 投資運用会社Sand Hill Global Advisorsのブレンダ・ヴィンジエロ氏は「今期の決算では不透明感が依然強い」とし、「良好な業績にもかかわらず、市場には慎重姿勢が根強く残る」と述べた。

エンブラエルや銀行株が堅調──ボベスパを下支え

 国内では、航空機メーカーのエンブラエル(EMBR3)が3.06%高と急伸。中国によるボーイングの購入中止報道を受けて、同社への注目が集まった。また、米国によるブラジル産食肉の検査報道を背景に、ミネルヴァ(BEEF3)とBRF(BRFS3)もそれぞれ1.92%、1.27%上昇した。
 一方、農業関連のSLCアグリコーラ(SLCE3)は2.50%下落。米中貿易戦争下での「安全資産」としての位置付けに疑問の声が一部で上がった。
 資源株では、鉄鉱石価格の安定にもかかわらずヴァーレ(VALE3)が1.01%安。1-3月期の生産実績発表を控え、生産減少への警戒感が圧力となった。石油大手ペトロブラス(PETR4)も原油価格の下落を受け、2.30%の下落となった。
 その中で、銀行株は相対的に堅調だった。イタウ・ウニバンコ(ITUB4)が1.27%高、ブラデスコ(BBDC4)が0.08%高と小幅ながら上昇し、指数全体を下支えした。
 なお、スーパーマーケット大手アサイ(ASAI3)は、最高財務責任者(CFO)の退任発表を受けて2.26%下落した。

為替と政策金利の見通し──高金利シナリオに慎重姿勢

 国内外の不確実性を背景に、著名な資産運用会社はより慎重な戦略を採っている。Ibiúna、Legacy、Genoa、Adam、Vinlandといったファンド各社は、レアル高と政策金利(Selic)の上昇ペース鈍化を見込む。15%台への到達は回避されるとの見方が強まっている。
 Adam Capitalは、3月の為替市場で75億ドルの資金流出がありながらも、レアルが実質で4.7%上昇した点を強調。中央銀行はインフレと財政負担のはざまで、全面的な利上げには踏み切らないとの見方を示した。
 Genoaは、米国の関税政策がコモディティ価格の下落を通じてブラジルにデフレ圧力をもたらすと予想し、ドル買いポジションを縮小した。
 Legacyは、新興国通貨への信頼感からドル売りポジションを維持。グローバルな減速が米国のインフレを抑制し、FRBの利下げを促す可能性を見込む。
 Vinlandも金利低下に賭ける「アプリケーション」戦略を維持しているが、米国の不透明な政策対応により、慎重な姿勢を崩していない。

最低賃金、2026年は1,630レアルに──新ルールで上昇率抑制も

 ブラジル政府は、2026年の最低賃金を1,630レアルとする見通しを示した。現在の1,518レアルから約7%の上昇となる。この見通しは、2026年の予算指針法案(PLDO)に基づくもの。
 政府は2024年末に、新たな賃金上昇ルールを導入。インフレ率に加えて0.6〜2.5%の範囲での実質上昇に制限する。2024年の実質GDPが3.4%だったことを受け、上限の2.5%が適用される見込みだ。
 経済成長率(GDP)の想定は、2026年に2.5%、2027年に2.59%、2028年に2.56%、2029年に2.59%と比較的堅調に推移するとしている。インフレ率(IPCA)は、2026年に3.5%、その後は3%台前半の推移が見込まれている。
 政策金利(Selic)は、2026年に12.56%、2027年には10.09%、2028年に8.27%、2029年には7.27%までの低下が予想されている。

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