週明け6日のブラジル株式市場は、主要指数であるボベスパ指数が前日比0.02%高の13万3,515.82ポイントで取引を終えた。前日比51.98ポイントの上昇で、米国とブラジルの金融政策決定を控えた「スーパー水曜日」を前日に控え、市場では慎重な取引が目立った。為替市場ではドルが0.37%上昇し、1ドル=5.710レアルとなったが、日中高値からはやや押し戻された。一方、金利先物(DI)は全体として低下した。
国内市場は全体として比較的落ち着いていたが、外国市場では不透明感が広がった。
欧米市場では不安定な動き 米国は政策リスクを警戒
欧州市場では、ドイツの連邦議会における首相選出に波乱があった。フリードリヒ・メルツ氏は初回投票で必要な316票に届かず310票にとどまったものの、再投票で325票を獲得し、ようやく新首相に選出された。この一時的な政治的混乱が欧州市場の動揺を誘い、株価指数はまちまちの動きとなった。
一方、米国ではトランプ大統領の発言が再び波紋を広げた。新たに就任したカナダの首相との会談で、同大統領はカナダの「併合」の可能性に言及し、「決してノーとは言わない」と発言。これに対し、カナダ側は「売り物ではない」と強く反発した。こうした政治的ノイズにより、本来焦点となるべき貿易関税の議論は後回しとなった。
米財務長官のスコット・ベセント氏は今週中にも主要貿易相手国との新たな合意を発表する可能性に言及したが、具体的な国名は明らかにしていない。さらに、米商務省が発表した3月の貿易赤字は過去最大を記録しており、関税実施前の輸入急増が影響したとみられる。これらの要素が重なり、ニューヨーク株式市場の主要指数はそろって下落した。
一方、英国とインドは同日、自由貿易の推進を謳った歴史的な合意を結び、保護主義に傾く潮流に一石を投じた。
企業決算に投資家注目 エンブラエルは堅調、GPAは急落
国内市場では企業決算シーズンが本格化し、政策イベントと併せて投資家の関心を集めている。航空機メーカーのエンブラエル(EMBR3)は2025年第1四半期決算で良好な業績を発表。株価は日中の振れ幅を経て最終的に0.80%高で引けた。米国の関税政策による影響は限定的とみられている。
一方、小売業のGPA(PCAR3)は四半期決算後に市場の失望を誘い、株価は20.21%の急落となった。アナリストの間では評価が分かれるものの、取締役会の動きや出資構造の変化が注視されている。保険大手のBBセグリダーデ(BBSE3)も同様に業績が嫌気され、7.44%下落した。
資源関連では、原油価格の上昇を背景に中小石油株が軒並み上昇した。ブラヴァ(BRAV3)が6.74%、プリオ(PRIO3)が4.23%、ペトロレコンカボ(RECV3)が4.26%と大きく値を上げた。
また、鉱業大手のヴァーレ(VALE3)は0.08%高と小幅な上昇にとどまったが、国営石油会社のペトロブラス(PETR4)は前日の下落から反発し、1.65%高となった。
ただし、銀行株の下落が相場全体の重しとなり、指数は小動きに終始。ブラジル銀行(BBAS3)は0.76%安、ブラデスコ(BBDC4)は0.45%安だった。
経済指標はまちまち サービス業は鈍化もIDHは改善
経済指標も強弱まちまちの内容となった。民間調査会社によると、4月のサービス業購買担当者指数(PMI)は需要の低迷を受けて再び縮小を示した。一方、国連開発計画(UNDP)が発表した2025年版の人間開発指数(IDH)では、ブラジルが順位を上昇させた。
なお、7日にはブラジルと米国の中央銀行が政策金利の決定を行う予定で、加えてブラジルでは3月の鉱工業生産が発表される。また、ローマでは新ローマ教皇を選出するコンクラーヴェが開始され、宗教界にも注目が集まる。
好業績の明暗:カルフールは急増益 カイシャ・セグリダーデは1,000億レアル突破
フランス系流通大手カルフール・ブラジル(CRFB3)は、第1四半期における親会社株主帰属の調整後純利益が前年同期比446.6%増の2億8,200万レアルとなった。主要業態のアタカダンが好調で、コスト管理と資本規律の徹底が奏功したと、同社のエリック・アレンカールCFOはコメントしている。
同社の調整後EBITDAは14億7,000万レアルで前年比3.7%増。EBITDAマージンは5.6%と前年の5.7%からほぼ横ばいだった。売上高は5.1%増の261億レアルに達した。
また、カイシャ(連邦貯蓄銀行)の保険子会社であるカイシャ・セグリダーデ(CXSE3)は、第1四半期に純利益10億レアルを計上。前年同期比で9.2%の増益となった。これを受けて、取締役会は9億3,000万レアル(1株当たり0.31レアル)の配当を決定。8月15日に支払われる予定で、8月1日時点の株主が対象となる。
政界でも動き リオグランデ・ド・スル州知事がPSD移籍か
政界でも注目の動きがあった。リオ・グランデ・ド・スル州のエドゥアルド・レイチ知事は、所属するPSDB(ブラジル社会民主党)からの離党を検討しており、代わりにPSD(社会民主党)への移籍が有力視されている。インフォマネーのインタビューに応じた同氏は、「24年間在籍してきたが、現在のPSDBは以前とは異なる」と語った。
PSDBは現在、ポデモス党との合併を進めている。レイチ氏はニューヨーク訪問を予定しており、それまでに最終決定を下す見通しだ。移籍にあたり、地元の支持基盤や同僚議員との調整も行っているという。