インフルエンサーのレアさん=SNSで活躍する頼もしい存在

 「バックパッカーとして18カ国以上を旅したけれど、日本が一番良かった。すべてが特別に感じられました。自分が日系人なんだというアイデンティティを、日本で初めて本当に実感しました。一番また戻りたい国です」――そう語るのは、インスタグラム(@lea_por_ai)で日本食やアジア文化、ブラジルの居酒屋(boteco)料理などを発信している、インフルエンサーの幸地レアさん(48歳、2世)だ。
 彼女のアカウントは、すでに8万人以上のフォロワーを誇っている。リベルダーデ地区や日本文化に関する発信をするインフルエンサーは多いが、その中でもレアさんは、動画制作の丁寧さがひときわ光っている。
 とはいえ、実は彼女の本職は、サンパウロ日伯援護協会(援協)傘下の「日伯友好病院」のコッペイラ(配膳担当)だ。現在の仕事には就いてから4年になる。入院患者への食事や特別食の準備をはじめ、日本からの駐在員が医療センターで健康診断を受ける際の日本食の提供なども担当している。
 さらに最近では、同協会福祉部からの依頼で、日本食の料理教室も担当。この料理教室は対面とライブ配信の両方で行われており、4月24日の回には「ソバと混ぜご飯」をテーマに、約30人が来場した。この講習の様子は、同団体のYouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/live/Dn4b9Rhy-MQ)でも公開されている。
 来場者の田港喜子さん(85、2世)に感想を聞くと、「ここでは実用的な料理を教えてくれるからとても役に立ちます。それに無料。以前は100レアルぐらい払って料理教室に行ったけど、難しすぎて結局作らなかった」と笑顔で話した。

美味しそうにソバを食べるアルゼンチン人のロチさん

 また、最前列に座っていたジゼレ・ロチさん(40歳)に話を聞くと、アルゼンチン人で2月から東洋街に住んでいるという。「以前から日本食が好きで、グーグル検索したらこれが見つかったので来た」とのこと。ソバや混ぜご飯を美味しそうに試食していた。
 レアさんは大学ではコミュニケーション学科を専攻。現在の職に就く前は、約6年間にわたりデカセギ向けの渡航書類作成の仕事をし、4回にわたって日本で短期就労も経験した。その間、中国、韓国、日本、タイ、カナダ、メキシコ、コロンビア、キューバなど、多くの国々をバックパックで旅し、豊富な経験を積んできた。
 また「Momo Ramen(モモラーメン)」「Noriko House」「Yakisoba Factory」「Jojo Ramen」などの日本食レストランでも勤務経験がある。
 インスタグラムのアカウントは2014年に開設し、パンデミックの時期にはすでに5万人のフォロワーを獲得していた。その後、エジソン・カネコ(@achadosdaliberdade)氏やマコト氏(@liberdade.sampa)といったインフルエンサー仲間との連携や協力を得て、フォロワー数は大きく伸びた。「たくさんの支えをいただきました。みんなで助け合って活動しています」と感謝の気持ちを語る。

対面で会場に集まった参加者の皆さん

 援協職員として、高齢者施設などの紹介動画も制作しており、中でも「さくらホーム」の紹介動画(https://www.instagram.com/reel/DHHn4qUuAX2/)は、すでに6万人以上が視聴するなど、SNS上での影響力も非常に高い。
 撮影、編集、投稿など、すべての作業を一人でこなしているという。まさにバイタリティあふれる女性だ。将来の夢について尋ねると、「これからも日系社会のために、ボランティアとして貢献していきたいです」と力強く語った。頼もしく、多くの人にインスピレーションを与える存在になっている。

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