
ブラジル熟年クラブ連合会会長などを歴任した五十嵐司さんが12日正午、サンパウロ市内のサンタマジョーレ病院で老衰に加えて肺の炎症などで亡くなった。行年99歳だった。葬儀はサンパウロ市パース墓地で家族のみで行われた。
五十嵐さんは1925年5月に旧関東州(後、満州国)大連市で生まれ、東京で育った。1950年に東京農業大学農業化学部を卒業後、東京で二つの香料会社の製造現場で計5年半修業をした後、ブラジルでの香料開発を志して1955年に渡伯した。
同年に入所した大河内薬科学研究所を皮切りに、1956年にフラッカローリ香料会社に就社して製造部長、1961年からブラジル・ジボーダン香料会社研究開発部長、1991年からロベルテ香料技術顧問、2004年からロイヤル香料社技術顧問などを務め、ブラジルの香料開発の発展に生涯を尽くした。
途中、サンパウロ州立総合大学(USP)化学部に選科生として1年間通学して論文を提出、担当教授の口頭試問を受けて1981年に検定試験に合格、化学士の称号が与えられた。これにより連邦化学院から化学技師の登録番号も正式に下付された。
同時にブラジル東京農大会会長、ブラジル日本文化福祉協会(以下文協)図書館運営員会委員長、ブラジル日本移民百周年記念協会の表彰委員、文協評議員、ブラジル熟年クラブ連合会会長・顧問なども歴任した。
2015年11月に日伯外交120周年を記念した外務大臣表彰受賞、24年6月に文協で白寿者表彰、同年10月にサンパウロCDCアカデミーから香料講師表彰などを受賞した。