JICA協力隊員リレーエッセイ=ブラジル各地から日系社会を伝える=(2)=子どもの笑顔に胸が熱くなる教育現場=アマゾナス州マナウス市 市川莉奈

絵を使って日本語を教える授業の様子(提供写真)

 JICA日系社会海外協力隊として2023年5月から、アマゾナス州マナウス市で活動している市川莉奈です。私の派遣先のジョセフィーナ・デ・メロ学校は、1990年に日本人牧師が設立した全日制の小中高一貫校で、キリスト教の教えを教育理念に掲げています。
 ブラジルの公立学校では、授業が午前だけあるいは、午後だけの半日というところが多いですが、本校は全日制で人気があり、2023年度の児童・生徒数は490人を超え、年々増加しています。
 毎朝、ラジオ体操と牧師さんのお言葉、お祈りから一日が始まります。「おはようございます」「失礼します」「いただきます」など、学校生活を通して日本語で挨拶します。
 学習内容も充実しています。算数や国語などの主要教科はもちろん、音楽や柔道、図画、水泳などの教科も学びます。音楽では、日本から持ってきたピアニカやリコーダーを使います。小学生から高校生まで日本語の授業は必修です。
 小学校1年生から、ポルトガル語、英語、スペイン語、そして日本語を学びます。四つの言語の学習を通して、いろいろな国の文化を知り、尊重することの大切さを学習します。
 私は、子どもたちに日本や日本語に少しでも興味を持ってほしいという一心で、日本語や日本文化を教える活動しています。
 先日、6年生を対象に花火大会と浴衣の授業をしました。日本の花火大会について、実際の写真を見せて説明した後、一人一人に浴衣の着付けを行いました。初めて浴衣を着る子も多く、浴衣の着付けには技術が必要であると知り、驚いていました。

浴衣姿の生徒たちと市川さん(提供写真)

 子どもたちは、浴衣の和柄模様や色使い、帯や小物との調和によって生まれる美しさを目の当たりにし、鏡に映る自分の姿を見て、「わー、すごくきれい!」と、感動していました。子どもたちの輝く笑顔を見て、ブラジルに来られてよかったと、胸が熱くなりました。
 赴任してから、習字や折り紙、日本食(おにぎりやたこ焼き、お好み焼きなど)、じゃんけん遊びなど、同僚と一緒にいろいろな授業に挑戦してきました。「日本の文化を楽しく学び、その楽しさが日本語の学習意欲へと繋がっている」とおっしゃっていただいた時は、本当に嬉しかったです。
 折り紙、日本食、アニメ、日本の風景、歌など、子どもたちの興味は様々です。日本には興味深い文化がたくさんあります。体験活動を通して、日本の魅力をもっと伝えていきたいです。そして、子どもたちには「いつか日本に行ってみたい!」と思ってもらえるよう、帰国する日まで力を尽くしたいです。

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