連載小説=自分史「たんぽぽ」=黒木 慧=第143話

 (六) 旅行……そして次の共通の趣味は旅行である。毎日おなじパターンの生活が続いていると、何か変った喜びを探したくなる。それが旅である。私達夫婦は隣の友人達と比べても、かなり多くの旅をして来た。やはり好きだから、旅のいいチャンスを探して実行するのである。勿論、金と時間と健康が必要で、自分達に可能な範囲の旅をするのである。無理はしない。借金してまで旅はしない。
 日本への里帰りの旅は、友人達から比べたら、かなり遅れて始めたけど、私が二十五年ぶり、美佐子が二十一年ぶり、一九八〇年に始まり、私が七回、美佐子が八回訪日した。又、来年(二〇一四年)十一月には、或は最後の訪日となる可能性もあるけど予定を立てている。美佐子の兄の公一郎から、七人の姉妹弟達に同じ文面のコピーの手紙が発送されて、来年(二〇一四年)十一月二十三日に母政子の十七年忌法要と父伝松の五〇年忌は二年位早めて一緒の法事となるだろうから、熊本に集って欲しいとのことで、美佐子にとっても姉、兄皆年老いて来たので、皆と顔を合わせられるのはこの度が最後になる可能性が強い、との事で訪日の予定を立てている。私の方は姉信代(八十六歳)、弟巳知治(七十二歳)、妹七海(六十八歳)が存命で、八人兄弟姉妹が四人になってしまったけど、墓の方は妹七海が守って呉れて、父の五十年も過ぎた事もあり、古い墓を整理して古いものは土に帰し、他は一つの墓にまとめ、曽根の天理教にも祭ってある。
 さて、旅はいい。旅は楽しい。私は子供の頃から好奇心が強かったのか、未知の国への憧れ、そして旅に出てそこの風景に感動し、人とのふれ合いに喜びを感じ、そこの食べ物を賞味するのが又楽しい。これも、その人の気持の持ち方で、その度合いは違って来るけど、私の場合は、気持ちを前向きに楽しもうと努めるのでなお楽しい。二泊とか三泊位の旅は私達夫婦のみで楽しむだけでなく友達をさそって、バス借り切りの旅を、今まで数回行って来た。私の企画で、値段も旅行社の半額位で皆に喜ばれた。
 自分史の中にその都度書いているように、私達夫婦は大・小数えきれない程の旅を楽しんで来た。大きな旅は世界地図を拡げて行きたい所へ夢をはせる。未知の世界に憧れる。一度行った所でも、もう一度行ってみたい所も沢山ある。

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