連載小説=自分史「たんぽぽ」=黒木 慧=第126話

・一月七日 私のプロスタタの精密検査、シンチオグラフィーアをパウリスタで行った。美佐子も心臓の心拍検査をサンタ・クルース病院で行った。今年は年頭から健康管理に忙しい。昨年暮に早期発見で小さなガンがプロスタタ(前立腺)にみつかり、面倒な精密検査である。それに腰と腕が痛い。又、農業研修生の世話に忙しい。
・二月三日 猪俣貴則、倉本陽造県派遣農業研修生を吉田マルセーロ英樹君が引率して全伯エアパス見学旅行(十一日間)に出発。十九日、県受入研修生、国府クラウジオ勇君と土田カイオ稔君が宮崎から二ヶ月ぶりに帰伯。
・二月二十日 私が企画し皆を誘って実行した、〈コチア青年金婚記念の豪華船旅、わが妻への感謝のプレゼント〉とのキャッチフレーズで、皆と楽しんだ七泊八日の船の旅。アルゼンチンのブエノス・アイレス、ウルグアイのモンテヴィデオとプンタ・デル・エステの観光、小さなハプニングはあったけど、皆さんに喜んで頂き、すばらしい大成功の旅であった。船賃は二人で五千レアイスであった。
・三月二十二日 前立腺のラジオテラピア治療を始める。ラジオテラピア療法はX線の替わりにラジウム石を通して放射する放射線療法である。私の場合三十九回照射してガン細胞を殺すのである。初日にガン細胞の位置を測定して、腰部左右と陰部上部に入れ墨みたいなマークをつけた。そのあと毎回そのマークの所に照射線を当てるのである。痛くも痒くもないので一体正確にガン細胞に当っているのだろうかと心配になる。一週間毎にその効果があがっているのか、それに依って体に異状が起きてはいないか、医師によって再確認が行われる。カウカイア在住の山本みつをさんが一年前に同じ場所で同じラジオテラピア治療を受けて、今ではPSAの値も〇・五まで下がってほとんど完治に近いと言っていた。
・四月十二日 県費留学生、望月カルロス、末光かつき訪日。

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