《アルゼンチン》原因不明の感染症で5人死亡=レジオネラ菌の集団感染と判明

トゥクマン県保健局による記者会見の様子(Tucuman Province Health Ministry/AFP)

 アルゼンチンのトゥクマン県では8月半ばから、原因不明の急性肺炎患者が集団発生と報告されていたが、3日に同県保健局がレジオネラ菌による集団感染である可能性を示唆したと4日付G1サイトなどが報じた。
 集団感染が報告されていたのはトゥクマン県の民間のクリニックで、8月18~22日に両肺を侵された急性肺炎の患者が集団発生したというもので、同月30日に具体的な調査も始まった。それによると、最初に確認された患者はクリニックの医療従事者5人とその患者1人だった。
 だが患者発生はその後も続き、1日には3人増えて6人となったと報告されたが、3日にはさらに2人増えて11人となった。また11人の内、5人は4日までに死亡が確認されており、残る6人は、3人が入院中、3人が自宅療養中だ。
 4日に死亡が確認されたのは64歳で基礎疾患のある男性で、重症化して入院していたと、トゥクマン県当局がその日の内に発表した。同県保健局はこの時点で、レジオネラ菌による感染である事も公表している。3日に死亡した患者は48歳の男性で、やはり入院が必要なくらい重症化していた。

レジオネラ菌(Reproducao)

 レジオネラ菌は川や湖、温泉や土壌などの自然界に生息している細菌で、水道管や空調ダクトを介して拡散する可能性がある。この属の菌に感染するとレジオネラ症を引き起こす。
 レジオネラ症の主な症状は発熱と急性の感染症だ。レジオネラ属の菌は約60種類が知られており、今回の集団感染は、レジオネラ肺炎を引き起こす代表的なレジオネラ族菌の1種のレジオネラ・ニューモフィラが原因と見られている。
 レジオネラ肺炎による致死率は5~10%程度とされているが、治療の遅れや加齢、合併症により、致死率はさらに上昇する。
 トゥクマン県立医大のエクトル・サレ教授によると、患者との濃厚接触者の間では感染が起きていないという。今回の集団感染は最初から、新型コロナやインフルエンザなどのウイルス感染の可能性はないと見られていた。
 同県内の新聞によると、患者らのサンプルからはレジオネラ菌が検出されているが、感染経路は不明で、当局は意図的に同族菌を拡散した可能性も含めた感染経路確認のため、水道水や空調設備を調査中だという。

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