《ブラジル》半数に倦怠感や長びく咳=深刻な新型コロナ後遺症=回復後も観察継続が必要

感染後も深刻な後遺症を招き得る新型コロナウイルス(NIAID)

 【既報関連】世界保健機関(WHO)や生物科学分野の国立研究開発機関「オズワルド・クルス財団」(Fiocruz)の調べでは、新型コロナ感染症(Covid―19)患者の半数に「Covid Longa(長いCovid)」と呼ばれる後遺症が残ることが分かったと現地紙が報じている。
 Fiocruzの発言は5月に発表された研究に基づくもので、18~91歳のCovid患者646人を14カ月間観察したところ、後遺症と見られる症状を訴えた人が324人いたという。
 具体的には疲労・倦怠感35・6%で、長びく咳34%、呼吸困難26・5%、嗅覚や味覚喪失20・1%、頭痛17・3%、血栓症6・2%などで、複数の症状がある人も多い。後遺症は重症者に多いが、中~軽症者でも見られるという。
 別の研究では疲労や倦怠感、脱力感、息切れや呼吸困難、肺や腎臓の線維症、味覚や嗅覚喪失、頭痛、筋肉痛や筋力衰弱、睡眠障害、うつ病や不安感、発話や推論/集中、記憶の困難などを列挙。肺や腎臓の疾患や既存疾患などで免疫力が落ちると、合併症発生や悪化も起き易い。
 嗅覚や味覚の障害や不安感、うつ病などは長期に亘る事が多く、息切れや呼吸困難は重症化すれば閉塞性細気管支炎や肺線維症にも至るという。炎症細胞が腎臓に及ぶと、腎臓線維症や急性腎不全を招いて、人工透析が必要となる事もある。
 糖尿病の制御や治療が困難になる例や、感染や再感染への恐怖、近親者が感染する事への恐れなどで専門医の治療を要するほどの精神的なショックを受ける例もある。
 動悸や発汗、頻脈などの不安症状を訴えた人の回復率は15~20%で、胸痛や動悸、高血圧などの心血管疾患やめまい、脱毛、排尿困難、下痢や腹痛、吐き気、食欲減退、勃起不能や性欲喪失、幻覚、妄想、脳卒中、発作、耳鳴り、耳や喉の痛み、発熱、発疹、神経の炎症などもある。
 14日には、ブラジリア大学の研究で口の乾きや咀嚼困難、舌や粘膜の炎症や病変も確認と報じられた。後遺症のためにリハビリや退院後のケアが必要な人も多く、患者の3割以上は脳神経内科的な問題を抱えているとの報道もある。最近は回復後の患者の突然死の報告なども出ている。

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