《ブラジル》実質金利が世界一に逆戻り=Selic12・75%、さらに上昇傾向=インフレ次第で14%超えも

12カ月の累積インフレ11・30%、Selic12・75%(中央銀行サイトより)

 ブラジル中銀の通貨政策委員会(Copom)は4日、経済基本金利(Selic)を大方の予想通り、11・75%から12・75%に1%ポイント引き上げた。これにより、インフレ率を差し引いた実質金利は年間6・69%に達し、伯国は実質金利の世界ランキングで首位に返り咲いたと4日付現地紙やサイトが報じている。
 40位まで発表された現在の実質金利の上位5カ国は、ブラジルに続き、2位コロンビア(3・86%)、3位メキシコ(3・59%)、4位インドネシア(2・39%)、5位チリ(1・84%)となっている。ちなみに日本は17位(マイナス1・10%)、40位はアルゼンチン(マイナス10・30%)となっている。
 インフレ率を差し引かない名目金利は、アルゼンチンがトップ(47・00%)で、2位ロシア(14・00%)、3位トルコ(14・00%)と続き、ブラジルは堂々の4位(12・75%)。日本は38位(マイナス0・1%)だ。
 2021年5月から引き上げが続く経済基本金利の上昇は、年初の頃には3月に12・75%となって頭打ちと予測されていた。その後、ウクライナ戦争が始まって、世界のインフレが高まり続ける展開になった。
 基本金利はインフレ上昇を抑えるための金融政策の一つで、Copomによって45日毎に更新される。4日の基本金利引き上げは連続10回目となる。
 2020年6月から2021年3月までの基本金利は2%台を保っていたが、今回の更新により、2017年4月以来の最高水準に達した。
 楽観的なシナリオに従えば、6月も緩やかなペースでさらにインフレが進み、6月14日と15日に予定されている次の会合では新たに0・5%、その次の会合でも0・25%上げて、13・5%で上げ止まるとの見方が出ている。
 その一方で悲観的なシナリオとしては戦争が継続し、国内でも連邦政府による公務員給与調整やバラマキ政策が進むことにより、しばらくはインフレ高進が収まらない場合も想定されている。その場合の基本金利は14%を超えるとの見方が専門家からは出ている。

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