世界最大規模のカフェ産業=グアシュペー組合と輸出業者

Exportadoraに貯蔵されているコーヒーのビッグバッグ
Exportadoraに貯蔵されているコーヒーのビッグバッグ

 ミナス・ジェライス州南部に位置するグアシュペー(Guaxupe)市。人口約7万人の小さな町だが、世界最大規模を誇るコーヒー生産者地域協同組合(Cooxupe)と輸出会社(Exportadora de Cafe Guaxupe、以下、Exportadora)が市内にあり、「コーヒーの町」として特に業界関係者には広くその名を知られている。昨年12月、同市を初めて訪問する機会に恵まれ、CooxupeとExportadoraの双方の施設を視察することができた。(松本浩治嘱託記者)

 サンパウロ市から北方向に約300km離れたグアシュペー市は標高約800メートルの丘陵地帯で、コーヒーを主要作物とする農業生産を中心に経済が成り立っている。
 最初に訪問したExportadoraは1970年、オラーヴォ・バルボーザ氏によって設立された。現在250人の従業員が働き、コーヒーの輸送、受け入れ、選別、保管、加工、出荷まで一貫した管理体制を構築。地元をはじめとするブラジル内のコーヒー生産者と焙煎業者、各国の輸入業者をつなぐ役割を担っているという。
 5万平米の敷地内では、最大でコーヒー100万俵(1俵は60kg)の保存が可能で、記者が訪問した昨年12月には15万俵のコーヒーの生豆(きまめ)が「ビッグバッグ」と呼ばれる1200kgの大型袋に入れられ、倉庫内に高く積み上げられていた。
 また、Exportadoraグループは日産6万リットルの牛乳生産業者でもあり、87年に「レイテ・ファゼンダ・ベラ・ヴィスタ」ブランドを作ったことでも有名だ。

Cooxupeのコーヒー試飲室
Cooxupeのコーヒー試飲室

 一方、1937年にグアシュペー農業協同組合として発足した後、57年に設立されたCooxupe。現在、1万6千人におよぶ組合員が所属し、その95%が小規模生産者だという。ミナス州南部、セラード・ミネイロ、サンパウロ州サンジョゼ・ド・リオパルド地域の約200の自治体で生産されたコーヒーを受け入れており、年間700万俵ものコーヒーを取り扱っている。ちなみに、中米グアテマラの年間コーヒー生産量が年間370万俵と言われていることから、Cooxupeの規模の大きさがうかがえる。
 同組合はグアシュペーの本部をはじめ、ミナス州各地にある支店やサントスの輸出事務所など37の施設を持つ。2011年にはグアシュペー市内の国道沿いに、組合員が生産したコーヒーを貯蔵するための工業団地を建設した。工業団地では機械式フォークリフトにより、大型トラックで持ち込まれたコーヒーを自動的に袋詰めして保管する。販売の際にはパイプラインで大型サイロへと移され、市場のニーズに合わせて販売準備が行われるという。
 また、組合員が持ち込むコーヒーの種類・等級の選別作業とテイスティング(試飲)をコーヒー・ラボ(分析室)で行なっており、その品質結果をインターネットのウェブ上で確認することができる。
 さらに、事業の多角化としてCooxupeでは、独自の焙煎工場、飼料工場、土壌分析用ラボ、地層処理などの投資プロジェクトも考慮。そのほか、組合内でオリジナル・コーヒーや帽子・衣服などのブランド品や、肥料・農機具製品の店頭販売も行うなど、コーヒー産業を主体にした市場拡大を実践している。
 なお、業界筋によると、昨年7月にブラジルなど生産国での霜害による減産の影響などで、コーヒーの国際価格は高騰している状態が続いているという。

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