《ブラジル》ブルマジーニョ・ダム決壊から3年=6人が行方不明のまま=最近の大雨で危機再び迫る

決壊したダムから流れ出した鉱滓に覆われた現場(Corpo de Bombeiros/Divulgação)

 ミナス州ブルマジーニョのフェイジョン鉱山で起きた鉱滓ダム決壊事故から3年が過ぎた。同州では大雨が続き、種々のダムが溢れたり決壊したりする危険性が増し、住民の間で危機感が高まっていると25日付現地サイトが報じた。
 Vale社のダム決壊は19年の1月25日。ダム決壊の瞬間や、鉱滓の巨大な津波が近隣を襲う様子を映した映像は全世界に衝撃を与えた。
 以後3年間、消防は新型コロナ感染拡大などの特殊事情のある時以外は捜索活動を継続。身元が判明した遺体は264体で、6人はまだ行方不明だ。
 遺族や関係者の胸を痛ませているのはそれだけではない。21年2月に同件に関する合意が成立した時、Vale社と連邦検察庁、同州検察局、同州政府は住民の声をより反映させると約束した。だが公開討論会開催のためのプロセスはつい最近になって始まったばかりだ。
 刑事責任を巡る裁判は最高裁に移管される可能性があり、全プロセスが振り出しに戻り得るなど、事故後の処置は遅々として進んでいない。
 住民の不安に輪をかけているのは、年頭の大雨が各種のダムが決壊したりする危険度を高めている事だ。
 3年前の事故の後、公的機関は安全対策を採ると約束したが、同州検察局の先週の発表によると、州内の警戒レベル2~3のダム31基中18基は緊急対策が必要だという。

 同州では2日間で200ミリ超の雨が降った所もあり、8日にはノヴァ・リマ市にあるパウ・ブランコ鉱山のダムが溢れた。この時はダム決壊や死者発生は避け得たが、9日にはカリオカ水力発電所のダムがあるパラー・デ・ミナスの住民に避難命令が出た。
 9日はナシオナル製鉄会社(CSN)が雨のため操業を停止。同州地裁は2週間前、防災局にカーザ・デ・ペドラダム周辺の状況を確認するための監視官派遣を命じている。
 CSNは同ダムでの土砂崩れは外壁だけの問題で、必要な措置を採ったと説明したが、同社は11日も、フェルナンジーニョ鉱山のB2ダムの警戒レベルを3に引き上げた。また、Vele社も13日、リオ・ピラシカバのエレファンテダムとオウロ・プレットのアレア9ダムの警戒レベルを3に引き上げた。
 同州には操業停止中の鉱山が複数あるが、ブラジル鉱物院は、同部門では自然災害に対する警戒も怠っておらず、操業停止は一時的な措置と説明している。
 ブルマジーニョと同形式の積み上げ式ダムは3年以内の解体命令が出た後、国家鉱業庁により、活動停止後の鉱山のダムは21年8月、活動中の鉱山のダムも23年8月までに解体と改定された。現段階では20%程度しか解体されていない。

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