南伯の赤ひげ先生にJICA理事長賞=巡回診療の森口秀幸医師に栄誉=老人病学向上等に大きな貢献

森口医師
森口医師

 「ブラジルのシュバイツァー」細江静男医学博士(1901ー75年、岐阜)の孫で「南伯の赤ひげ先生」とも称される日系医師・森口エミリオ秀幸さんが、独立行政法人国際協力機構(JICA、北岡伸一理事長)の『JICA理事長賞』を受賞し、昨年12月9日に対面とオンラインを併用して表彰式が行われた。同賞は毎年、国際協力事業を通じて発展途上国の社会や経済に多大な貢献をした個人や団体の功績を讃えて、JICAから贈られるもの。今年は日本国内外で個人27人と15団体が受賞した。

北岡理事長(JICA提供写真)
北岡理事長(JICA提供写真)

 森口さんは約15年に亘り、ブラジルJICA
が実施してきた研修事業や移住者支援事業を通じて主要な役割を担い、日系社会やブラジル社会における医療サービスの向上に努めてきた。
 さらに、1994年から98年に第三国研修で実施された「老人病学」の研修では、父の森口幸雄さんと講師を務め、中南米各国から参加した74人の研修員に対し、最先端の老人病学知識や技術の移転で貢献した。
 同氏はライフワークとして祖父の細江静雄さんと父の3代続く巡回診療を受け継いで、3千キロを超える距離を巡回。言語の壁で通院が難しい日系1世のために、1カ月かけて各地を巡回し、医療サービスを提供してきた。
 巡回医療経費の足りない分はポケットマネーから捻出しながら信念で続けてきた。近年コロナ禍となってからは遠隔で診療を行い、コロナ禍でも医療サービスを受けられるように尽力している。
 北岡理事長は開会挨拶で「JICAや日本の国際協力が高く評価され、信頼されるのも皆様の功績によるもの。受賞者は、事業実施地域と日本との信頼関係をより一層強くする上で大きな役割を果たした」と表彰者を讃えた。
 JICAは2017年から『信頼で世界を繋ぐ』という理念を掲げ、『援助』や『支援』ではなく『協力』と言い換えている事を理事長は説明し、「信頼関係に基づき、相手からも学びながら対等な立場で協力していきたい」と挨拶を締めくくった。
 表彰式ののち、受賞者を代表して、発展途上国でスポーツ教育による人材育成を行った特定非営利活動邦人ハート・オブ・ゴールドの有森祐子代表と、環境保全に関する活動を行なってきた福田宗弘(ふくだ・むねひろ)氏が挨拶を行った。

森口医師はオンラインで参加した。二列目一番右(JICA提供写真)
森口医師はオンラインで参加した。二列目一番右(JICA提供写真)

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